長期休暇中「誰とも話さない」は、危険すぎる 過度な「お一人様志向」が招くメンタル危機

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もちろん「一人でいるのはよくない」と言いたいわけではありません。一人時間も、大切な時間。それと同じように、小さな心の変化や日々の出来事を誰かに話すということが、どんな人にも必要なのです。そのような場が少ないと感じる人は、ぜひ、家族や身近な人たちとの時間をつくることを心掛けてみてください。

特に男性は、女性と比べると人に話をする機会が少ないので注意が必要です。人との会話が少なくなると、孤独感を感じやすくなり、一人で問題を抱え込んでしまいがちです。

男性のほうが「気持ちを語れない」理由

内閣府の発表によると、毎年3万人近くの方が自ら命を絶っています。その男女比は7:3で、男性の方が2倍以上も多いのです。原因の一つには、男性の方が話す機会が少ないということが挙げられています。

女性は家族や職場の仲間などに、「昨日こんなことがあって嫌だった!」など、自分の気持ちを率直に語れる傾向が強いのに対して、男性は仕事上の「報・連・相」はできても、自分の心の内を屈託なく話すことに抵抗を感じている人が多いようです。アルコールが入らないとなかなか本音を話せない、という人もいます。

最近は不況が続き、さらに社員のプライベート志向が尊重される世の中になったことで、「飲みニュケーション」の場も減少傾向。対面で誰かに気持ちを吐露できる場がさらに減っています。ですから、そういう機会に誘われたときなどは、面倒に思わず、参加してみるのもいいでしょう。

また、誘いを待っているだけでは、なかなか機会に恵まれないかもしれません。いきなり新しい出会いを求めるのもハードルが高いと思います。すでに交友のある人、ちょっと親しくなりかけの人など、無理のない範囲で誘ってみるのもいいですね。

たとえ、タイミングが悪く断られたとしても、誘われた側は、「自分を誘ってくれる人」とあなたを認識し、今度、何かあったときには声をかけようかなと「誘う人リスト」に加えやすくなります。

一人でいるほうが楽だということももちろんありますが、「お一人様時間」が長いと感じた人は、リアルに気持ちを伝える場と相手を持つことの大切さを見直してみてください。人との対話は、健全なメンタルを保つ上で重要なカギなのです!

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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