さっそく、試乗する。2002年12月、世界で初めてアメリカの燃料電池車販売認定を取得したホンダ「FCX」の日本における試乗以降、歴代のホンダ燃料電池車に試乗してきたが、CR-V e:FCEVはFCEVの常である空気を吸い込むブロアー音(ブワッ~という電動ファンに似た低く唸る音)が全開走行であってもほとんど聞こえない。
FCスタックは水素と酸素の化学反応で電気エネルギーを生み出す。よって、たくさん発電する場合(例:急加速など)には酸素がたくさん必要になる。CR-V e:FCEVでは、酸素を取り込むための電動ターボを小型高回転型として効率を高め、低圧縮型として先のブロアー音を押さえ込んだ。
ホンダが2016年にリース販売した「CLARITY FUEL CELL」から、電動駆動モーターの音を12dB、ブロアー音7.5dBそれぞれ低減。FCスタック/駆動モーター&ギヤボックス/電動ターボ/エアポンプを一体化したことで音の発生源が抑えられ、内燃機関モデルとフロントサブフレームのマウント(ブッシュ類の減衰特性は重量増に合わせて調整済)の共有化が図られたことから振動の発生源をも抑制している。
一般化しつつある電気自動車と変わらぬ走り
乗り味はまさしく充電のいらないBEVだ。ハイブリッド機構はホンダの代表的な仕組みである「e:HEV」と同じ考え方。巡航時など一定の発電量で済む場合はFCスタックだけで電動駆動モーターに電力を供給するモードもある。
走りの性能を左右する電動駆動モーター(定格出力60kW/最高出力130kW、最大トルク310N・m)は前輪のみ。つまり駆動方式はFFだ。モーターの回転上限から最高速度は160km/hだが、テストコースで確認するとメーター上は167km/hまで伸びた。パフォーマンス全振りのBEVのような速さはないが、大人3名乗車+荷物を積載した状態であっても不足のない性能だ。
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