ホンダ「CR-V e:FCEV」水素で走るクルマの現実味 水素ステーションの絶対的な不足と水素価格高

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また、肝心の水素価格もなかなか下がらない。国ではNm3(ノルマルリューベ)あたりの水素単価を2050年に向けて現在の1/3にすることを目指すが、現時点の水素価格は1650〜2200円/kgで推移し、2024年にはむしろ値上がり傾向だった。

CR-V e:FCEVのインパネまわり
CR-V e:FCEVのインパネまわり(写真:本田技研工業)

ちなみにCR-V e:FCEVの場合、水素1kg(≒11.2m3)で129km走行できる(WLTCモードでのホンダ測定値)。さらにCR-V e:FCEVはPHEVなので、水素フル充填と電気フル充電のエネルギーを合算した際の航続可能距離は621㎞(同)と、ここは十分実用的。

では、FCEVの未来は暗いのかと言えば、筆者は必ずしもそうではないと考える。各所が取り組んでいるFCスタックの出力密度を上げつつ、耐久信頼性を向上させる術が確立され、並行して国が主導となって水素単価を下げれば道は拓ける。

また、化石燃料の代替として「小さな発電所」となり、電気エネルギーを生み出すFCスタックは、目的に応じて発電を制御したり、数を増やしたりする(並列させる)ことで、小型車から大型のトラック/バス、建設機械、定置発電設備まで、枠に囚われない電動化社会の実現を下支えすることも可能だ。

筆者は過去、トヨタの燃料電池バス「SORA」のプロトタイプに公道で試乗し、さらには立ち席の乗客として現在もたびたび乗車しているが、運転感覚はやはりBEVそのもので、立ったままの乗車でも滑らかさが際立っているから安心だ。

課題だったFCスタックの寿命が向上

FCEVの要となる燃料電池(FC)ユニット。ホンダとゼネラルモータース(GM)との共同開発となり、生産性能向上などによって従来システムからコストは1/3、耐久性は2倍に向上
FCEVの要となる燃料電池(FC)ユニット。ホンダとゼネラルモーターズ(GM)との共同開発となり、生産性能向上などによって従来システムからコストは1/3、耐久性は2倍に向上(写真:本田技研工業)

改めてCR-V e:FCEVの特徴はどこかといえば、FCスタックの課題のひとつである経年劣化(≒発電効率の低下)に対して、大容量(17.7kWh)の二次バッテリーからの給電を頼りに延命を図ったことにある。

普段はFCスタックに余裕をもたせて発電させて性能と寿命をバランスさせながら、二次バッテリーからの給電で長い航続距離を確立。急加速時や高い速度域で走る場合にはFCスタックと二次バッテリーの共演で大きく発電し、求める走行性能を実現するという考え方だ。

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