構成比と実数とを見比べてみればその違いが明確になるでしょう。
アプリ婚は確かに構成比も実数も増えています。結婚25年以上の夫婦(1989~1998年までに結婚した夫婦)と直近1年に結婚した夫婦(2023年結婚)とを比べれば、年間あたり13.8万組増えている計算です。
しかし、一方で、「友人の紹介」きっかけの結婚は同期間で14.2万組も減っており、いわば、「友人紹介」結婚が減った分が「アプリ婚」に流れただけとも推測できます。同様に、かつての婚姻を牽引してきた「見合い」は9.4万組減少、「職場」に至っては22.1万組の激減です。同期間の全体の婚姻数の減少は、29.1万組ですから、その減少分のすべては「見合い」と「職場」の減少によるものとわかります。
ちなみに、「学校」きっかけの結婚は長い間減りもせず、ほぼ変わらず推移していることにも注目です。
「アプリで全体の婚姻数を底上げ」になっていない
ところで、グラフ上で暖色系にしているものは自力婚、寒色系はお膳立て婚と分類しています。自力婚に分類されるのは、「アプリ」以外に「友人の紹介」「ナンパ」「合コン」「趣味のサークル」「婚活パーティー」などで、出会いのきっかけは違えど、その後恋愛から結婚まで進展するためには自力の恋愛力が必要とされるものです。
一方、お膳立て婚とは、「職場」「見合い」のほか「学校」「結婚相談所」など特定の所属コミュニティや仲人などの第三者の介在や周囲の後押しのあるものを指します。当然、職場結婚でも自力が不要なわけではないですが、簡易的にこのように分類しています。
この自力婚とお膳立て婚をまとめて結婚1年目と25年以上の夫婦を比較すると、これだけ全体の婚姻数が激減しているのに、自力婚の絶対数はほぼ減っていないことがわかります。婚姻減少とは、「お膳立て婚」の減少に尽きるのであり、自力でなんとかなる自力婚の数は、そのきっかけは違っても皆婚時代と変わっていないということです。
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