ソニー「エンタメ総取り」打ち出した社長の本気度 「CES 2025」はホンダと開発のEVも含めエンタメ一色
安定成長を支えるのは、スポティファイやアップルミュージックなどの音楽ストリーミングサービスの存在だ。同サービスは、楽曲が再生されるたびに一定の楽曲使用料が権利者に支払われる仕組みになっている。
EMIはソニーが買収した当時から「クイーン」や「キャロル・キング」「カニエ・ウェスト」など、幅広いアーティストの楽曲約200万曲超の著作権を保有・管理していた。
有名アーティストの楽曲は発売から時間が経っても再生され続ける。そのため初期費用さえ負担すれば、リスクを負うことなく稼げるビジネスモデルになっている。
ソニーはその後も精力的に楽曲カタログの買収を続けている。直近でもイギリスのロックバンド、ピンクフロイドの楽曲に関する権利を取得したと報じられている。
楽曲に関する権利の取得に加え、アーティストの発掘から育成、グローバル展開まで、自社で完結することができる能力を培ってきた。日本国内ではYOASOBIの成功が典型例だ。海外でも南米などで積極的なアーティスト発掘活動を行っているという。
アメリカのCBSとの合弁で日本国内にCBS・ソニーレコード(現在のソニー・ミュージックエンタテインメント)を立ち上げたのは1968年。以来、50年以上にわたって取り組んできたエコシステム作りの成果が、今日の音楽事業の成功に表れている。
勝ちパターンを再現できるか
この勝ちパターンを映画やアニメ、ゲーム、スポーツの領域へと広げ、さらにそれぞれの事業ごとに行っていたIP展開をセグメントの壁を越えて行う。それにより付加価値を高めることが、ソニー首脳陣の狙いというわけだ。
昨年12月に発表した出版大手KADOKAWAへの追加出資もその一環だ。約500億円で同社株を追加取得して約10%を握る筆頭株主になった。これまで弱かったIPの創出機能を補うことで、ソニーが得意とする育成や展開の機能をより効果的に活用することができる。
もっとも、あるエンタメ事業の関係者からは「財務畑出身の十時さんが考えるほど、狙いどおりにヒット作を生むことはできない。シリーズものばかりのつまらないコンテンツだらけにならないかが心配だ」という声も聞こえてくる。
アニメや映画、ゲームなどそれぞれの事業領域で勝ちパターンは異なる可能性が高い。勝ちパターンの発見には相応の試行錯誤が必要なのも事実だろう。それでも自社を「クリエイティブ・エンターテインメント・カンパニー」と形容した十時社長に引き返すつもりはなさそうだ。
ソニーにとって2025年度は、2026年度までの中期計画の2年目に当たる。十時社長の舵取りで将来の稼ぎの種となるコンテンツの育成にどこまで手をつけることができるか。CESで始動した「十時ソニー」の2025年。次の成長に向けた大事な1年になる。
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