「移民」「外国人」と聞けば嫌悪感を抱く日本人の本性 「アジア人」と自覚すればつまらない感情は消え去る

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もちろん、中国が世界の指導者に再びなろうとしている現在、昔のよしみで中国人と間違われるのを潔しとするのも、いささか気恥ずかしい。もっと近隣に対し、素直になるだけでいいのだ。

西欧化へ舵取りして以来、どうもそうした素直さが欠けたことが、明治以降の日本の孤独なのかもしれない。

外国人や移民に対し同国人と同様に素直に悪いところは注意し、いいところは評価するだけでいい。

一方的に脅威を感じたり、見下したりする必要などさらさらない。それはアジア人に対してのみならず、西欧人に対しても同じである。

普通に「アジア人」として生きる

漱石も留学時代、西欧人並の日本人として大分「突っ張っていた」ようだが、留学後この突っ張りがとれたところで、作家として成長したように思える。

今の日本で大切なことは、西欧人に負けないという下手な自負など捨て、たんなるアジア人として生きればいいだけである。

そうすれば、外国人に対する不必要な怒りなど消し飛ぶだろう。それが21世紀の日本にとってとても重要なことなのだ。 

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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