韓国大統領「戒厳令」暴走には経済問題があった! 騒動の背後でうごめく経済分野の「韓国病」とは

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業界関係者によると、スマートフォン、ディスプレー、メモリといった多くの分野で、中国企業がサムスンと直接競合している。台湾のTSMCが長年にわたりファウンドリに集中し、過去の競争で業界の構造調整を進めたことで、台湾企業がダメージを受けずに済んだのとは対照的だ。

さらに、サムスンの失速には「チーム選びの失敗」という別の要因もあった。

サムスンの半導体業界での失速

業界関係者によれば、AIの急速な進展が半導体の競争構図を変える中、TSMCがロジックICで大幅に先行し、さらにCoWoSという先進パッケージング技術で、アメリカのNVIDIAのGPUと韓国SKハイニックスのHBM(高帯域幅メモリ)を組み合わせた「三角同盟」を形成した。

この連携がAI時代の半導体の中心となる一方で、サムスンはこのチームに参加できず、技術と生産量でSKハイニックスに後れを取った。

2024年第3四半期(7~9月)には、SKハイニックスの単独利益が7兆ウォンを超え、サムスンを上回る業績を記録。韓国最大手紙『朝鮮日報』はこれを「サムスンの半導体部門トップが外部に向けて『心配をおかけして申し訳ない』と述べる中、ハイニックスの業績が際立っている」と描写した。

また、「アメリカのNVIDIA、台湾のTSMC、韓国のSKハイニックスによる『三角同盟』がAI時代を迎えた」と評価した。

一方、サムスンだけでなく、ロッテの苦境も深刻だ。債務負担が増加し、2023年6月末時点で1年以内に返済が必要な短期債務は、2021年の11.7兆ウォンから14.1兆ウォンへと急増した。小売業やホテル事業の衰退もまた、中国市場に起因している。

とくに2016年、ロッテグループは韓国国防部と敷地交換協定を結び、その敷地が高高度防衛ミサイル(THAAD)配備の予定地となったことで、中国政府の反発を招いたのだ。

この「THAAD報復」後、ロッテの中国における小売事業は壊滅的な打撃を受けることになる。2018年にはスーパー事業を完全に撤退させ、2020年には百貨店5店舗のうち3店舗を閉鎖。2022年には同社の中国本部「楽天管理」の閉鎖を発表するに至った。

サムスンやロッテの事例が示すように、韓国財閥が長年依存してきた中国市場は、もはや安全地帯ではなく、厳しい競争の舞台となっている。これが韓国経済全体の持続可能性を危うくしていると言えるのだ。

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