韓国大統領「戒厳令」暴走には経済問題があった! 騒動の背後でうごめく経済分野の「韓国病」とは

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実際、韓国の現在の苦境は経済問題から波及しており、財閥が国家経済を支配する中で、大企業は活力を失いつつある。その結果、韓国の競争力は根幹から侵食されているのだった。

2019年公開の映画『パラサイト 半地下の家族』にはこんなシーンがある。主人公一家が次々と朴社長の家に就職した後、同じにおいがすることがばれて困惑する場面だ。

この時、運転手をしていた父親が満面の笑みでこう答える。「警備員の求人でも500人の大学卒業生が応募する時代に、家族全員が仕事を見つけた……なんて贅沢な悩みだろう」。

若者の低賃金と非正規雇用

このセリフは台湾人にとってやや皮肉に感じられるかもしれないが、淑明女子大学経済学部の申世敦(シン・セドン)教授は真剣な表情でこう語った。

「就職難は確かに重要な問題だ。現在、大学卒業生のわずか10~20%しか正社員の仕事を見つけられず、将来に対する完全な絶望(hopeless)感が広がり、政治制度への信頼が急激に低下している」

韓国では企業の99%が中小企業で、全国の雇用の8割以上を担っている。しかし、これらの中小企業は財閥の影響下にあり、利益が制約されるため、従業員に高い給与を提供することが難しい。

新卒の初任給が財閥系企業の従業員の半分程度にとどまることもあり、多くの中小企業が慢性的な人手不足に悩まされ、従業員は低賃金に耐えるしかない。

リベラル派の文在寅前大統領は選挙期間中、「財閥政治の終焉」を最も印象的な公約として掲げた。当選後、若者の低賃金問題を改善するため「公正経済」というビジョンを提示し、財閥による経済力の濫用を防ぎ、公平な競争を確保。経済成長の果実を公正に分配することを目指した。

例えば、中小企業の採用難を改善し、多くの労働者を支援するため、文在寅は中小企業の従業員に対して年間1000万ウォン(約100万円)の給与補助を最長3年間提供する政策を打ち出した。しかし、この政策は大学卒業生が大企業への就職を目指すという伝統を覆すには至らなかった。

また、「公正経済」の一環として、最低賃金の積極的な引き上げにも取り組んだ。2017年の文政権発足時、韓国の最低時給は6470ウォン(約650円)だったが、5年間で41.5%上昇し、台湾の時給190元(約760円)を上回った。

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