韓国大統領「戒厳令」暴走には経済問題があった! 騒動の背後でうごめく経済分野の「韓国病」とは
2015年に中国で株式市場の暴落が起こり、経済成長率が25年ぶりの低水準に落ち込んだ。この影響を受けて、中国市場に大きく依存していた韓国の輸出も6年ぶりにマイナス成長を記録した。
本来この状況は、韓国が経済・貿易政策を見直す機会となるはずだった。しかし、もう一つの「経済対策」が登場したことで、その機会が失われたのである。
同年、中韓自由貿易協定(FTA)が締結され、翌年に正式に発効したのだ。複数の研究機関は、この協定によって韓国の対中輸出が年間54億ドルの関税を節約でき、競争力が大幅に向上すると予測していた。
細った韓国財閥企業の底力
しかし、今振り返ると、「韓国と中国間のFTAは、相互貿易において期待された効果を十分に発揮していない」と言わざるをえない。高麗大学経済学部の姜成鎮(カン・ソンジン)教授はこう語る。
中韓FTAの締結以降、消費者向け電子製品、ディスプレイパネル、鉄鋼、自動車、石油化学といった韓国財閥が元々優位性を持っていた多くの産業が、「中国からの巨大な競争に直面している」と述べた。中国企業は供給能力を迅速に拡大し、国内で大量生産を進めているのである。
韓国経済の「持続可能性」に悲観を示す姜成鎮教授は、財閥主導の産業が中国との高度な競争に直面している現状を見て、「韓国経済の弱体化は一時的な調整ではなく、構造的な問題に陥る可能性がある」と指摘している。
財閥を語るうえで避けて通れないのがサムスンだ。かつてTSMCに匹敵する存在だったサムスン電子はここ1年で時価総額が25%減少し、現在約8.2兆台湾元(約36兆円)と、TSMCの3分の1にも満たない規模にまで縮小している。
近年、米中の技術覇権争い、新型コロナウイルスによるパンデミック、サプライチェーンの断裂、地政学的な変動などが続き、サムスンにとって重要な時期にあった。
しかし、前会長の李健熙(イ・ゴンヒ)の死後、後継者の李在鎔(イ・ジェヨン)がスキャンダルと訴訟に巻き込まれ、経営判断が遅れる結果となっている。
とはいえ、サムスンを苦境に追い込んだ主因として、中国市場への依存、いわゆる「中国病」が依然として挙げられる。
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