「山一證券事件」は、風化した古い話ではない 「なぜ潰れたのか」、若い人も学ぶべき

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――若松監督も株式会社共同テレビジョンの一員であるわけですが。会社という組織をどのように考えていますか?

自分の会社を見ても、今は会話がないんですよね。制作会社なのに何でこんなに会話がないんだろうと。みんなパソコンに向かっている。仕事をしているのかなと思ったらゲームをやっている。そんな時間はもったいないじゃないかと思うんですよ。そこで会社に「机の上にパソコンを置くのをやめませんか」と言ったんです。そしたら「だって今はパソコンの時代じゃないか」と返ってきた。「そういうことではなく、この会社は会話をしなきゃいけない人たちがそれを仕事にするわけで。パソコンに向かうのは、おカネを計算する人とか、一部の人だけでいいじゃないですか」と。

そうしたら何カ月かして「とりあえず監督はパソコンをやめます」と。とりあえずは俺が言ったことがひとつ届いたなって。そういうことの積み重ねで、一歩一歩やっていけばなんとかなるんじゃないかなと思いますよね。

若い人にエネルギーを持って仕事をして欲しい

――映像業界の若い人たちはどう映りますか。

今、若い人たちが本当に楽しくドラマを作っているのか、すごく疑問なんです。共同テレビは、制作会社の中ではトップを走っているプロダクションのひとつだと思いますが、視聴率のとれないドラマも多くなってきて。このままでは心配です。きっとそれはエネルギーの問題なんだと思います。何を作りたいのか。この役者をどうしたいのかと。そういうことを考えるだけでもいくらでも変われるんですよ。そういう精神、魂を持ってほしいから「パソコンをやめましょう」と。

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――でも、林遣都さん扮する吉岡も、最初はやる気がなさそうだったのに、江口さん扮する梶井に感化されて、だんだん熱さを取り戻していきます。

不思議なことに役者も成長するんですね。この2カ月の撮影の間に、特にああいう若い役者は、江口さんやB作さんといった老練な人たちを見て学ぶんでしょうね。「ここのせりふはこうじゃありませんか?」とこだわるようになっていくというか。いいドラマは、そういった刺激をちゃんと役者にも与えているんだなと思いました。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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