暴力団とインテリジェントビル 新宿・歌舞伎町の今後

拡大
縮小
暴力団とインテリジェントビル--新宿・歌舞伎町の今後

日本一の歓楽街、新宿・歌舞伎町。東京都の暴力団排除条例施行(2011年10月施行)を機に、街はどう変わるのか。

 歌舞伎町は靖国通りに面する1丁目と、より大久保に近い2丁目とでは、まったく顔が違う。1丁目を中心に約3000店が加盟する歌舞伎町商店街振興組合の幹部は、「われわれは(条例が禁じる)みかじめ料の不払い宣言をしたし、店頭にはそのステッカーも貼っている」と強調する。とはいえ、その1丁目も暴力団と全く無縁なわけではなく、あるラーメンチェーンが暴力団ときわめて近い関係にあることは、知る人ぞ知るところだ。

一方、ラブホテルやホストクラブ、キャバクラが林立する2丁目は、いまだ違法風俗店も多い。よく見かける“無料案内所”は、受け付け、ホテル、女性の待機所と、3カ所に分けることで、巧妙に編み出された風俗店の形態の1つ。1999年の風俗営業法改正で、従来の店舗型の性風俗特殊営業が実質的に難しくなり、代わりにこうした“無店舗型(派遣型)”が激増していった。

 風営法の適用外となる無料案内所は、風俗店に顧客を紹介する分、風俗店から広告宣伝料などの名目でカネが入る仕組みだ。これに暴力団も介在している例も少なくない。

だが、時代の変化は速い。長く街の顔だった旧新宿コマ劇場は、08年の大晦日に閉館し、現在は解体の真っ最中(写真は再開発中の旧コマ劇場跡)。3年後の2015年には、地上31階・地下1階建ての「新宿東宝ビル」が姿を現す(施工・竹中工務店)。これは、都内最大級のTOHOシネマズ(東宝系のシネマコンプレックス)やワシントンホテル(藤田観光)などが入居した、高層の複合インテリジェントビルだ。

規制される一方の法律・条例と、街の浄化を加速する大型再開発。果たして暴力団の居場所はどこにあるのか。『週刊東洋経済』1月28日号(1月23日発売)の「暴力団対策と企業」特集では、暴排条例による企業や市民の影響に加え、追い込まれる側の暴力団の背景についても掲載した。ぜひご覧頂きたい。

大野 和幸 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT