古代ローマの頃から変わっていない戦争の性質 戦争は始めるのは簡単だが終えるのは困難

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ラテン語:正当防衛の文脈で捉えても、現代にリンクする部分があります。つまり、正当防衛が武力行使の建前になってしまっている。

ヤマザキ:自分たちが正義であり、正しいと思っている勢力からすれば、侵略も正当防衛になるということですよね。

ラテン語:そうです。アメリカが大量破壊兵器の存在をでっちあげて中東に侵攻したように。

ヤマザキ:こうした格言が他の名言とともに20世紀以上も残り続けているその背景に、常に戦争を起こさないと気が済まない人間の性質というものを痛感させられます。

終わらない戦争

ラテン語:続いては古代ローマの詩人、ホラーティウスが古代ギリシャ詩の『イーリアス』について『書簡詩』で表現した文章です。

quicquid delirant reges, plectuntur Achivi「王たちがどう狂乱しても、アカイア人たちがそれを償うことになる」

ヤマザキ:いろんな状況で使うことのできる言葉ですね。

ラテン語:そうですね。戦争に当てはめれば、上級軍人や為政者は戦争に携わっていても自分たちは負傷することなく暮らしているし、あまつさえ戦争を始めたり激化させたりするけれど、戦時中の下級軍人は傷つき、国民も大変な暮らしを強いられるということです。

ヤマザキ:今もまったく同じというか、人間というのはつくづく学習できない、または学習したくない生物なのだと思います。

ラテン語:続いては、サッルスティウスという人がまとめた戦記『ユグルタ戦争』からです。

omne bellum sumi facile, ceterum aegerrime desinere「戦争は始めるのは簡単だが終えるのは極めて困難だ」

これも現代に通じますね。ウクライナ戦争は終わりが一向に見えてきません。

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