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100分de名著・秋満吉彦が選ぶ「戦争に抗う3冊」 最注目の1冊は『カラマーゾフの兄弟』

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世界に蔓延する「殲滅戦」。これに対抗しうる視点は、名著から得られる。「100分de名著」プロデューサーの秋満吉彦氏が解説する。

「100分de名著」プロデューサー 秋満吉彦氏
秋満吉彦(あきみつ・よしひこ)/「100分de名著」プロデューサー。1965年生まれ。熊本大学大学院修了後、90年にNHKに入局し、「BSマンガ夜話」「日曜美術館」などを担当。2014年NHKエデュケーショナルに異動して「100分de名著」を担当(撮影:梅谷秀司)

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鳴動する政治。終息しない戦乱。乱高下する市況。その先にあるのは活況か、暗転か――。
『週刊東洋経済』12月23-30日 新春合併特大号の特集は「2024年大予測」。世界と日本の行方を総展望する。

 

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私がプロデューサーを務めるNHKの教養番組「100分de名著」では、そのミッションの1つに「戦争をなくすこと」を掲げている。

理想論だという声が聞こえてきそうだが、名著を通じてより多くの人が戦争の抑止を考えるようになれば、何かのときに歯止めになるはずだ。名著には、その力がある。

2023年は世界で憎悪の連鎖が拡大した年だった。

ミャンマー内戦、シリア内戦、ウクライナ戦争、イスラエルによるガザ侵攻などの戦争は泥沼化しており、そう簡単には好転しないだろう。今、世界を席巻しているのは「殲滅(せんめつ)の思想」だ。

かつてプロイセンの名参謀、クラウゼヴィッツは「戦争は外交の延長だ」と説いた。戦争は、勝利によって自分たちに有利な講和条約を結ぶための手段であると。

対して、今の戦争は様相を異にする。利害や思想が異なる相手をひとたび敵と認定すれば徹底的に排除し、交渉や妥協の余地がない。敵を根こそぎ滅ぼさないと終わらない戦争だ。この殲滅の思想に対抗しうる原理を打ち立てないことには、この泥沼から脱することは難しいだろう。

完全な悪は存在しない

それを踏まえて、まず推薦したいのがロシアの文豪、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』だ。

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