政治学者で、『さらば、男性政治』で2023年の石橋湛山賞を受賞した三浦まり氏が選ぶ名著3冊。

三浦まり(みうら・まり)/政治学者。1967年生まれ。慶応義塾大学卒業、米カリフォルニア大学バークリー校大学院修了。Ph.D.(政治学)。上智大学法学部教授。近著『さらば、男性政治』で石橋湛山賞(撮影:尾形文繁)
鳴動する政治。終息しない戦乱。乱高下する市況。その先にあるのは活況か、暗転か――。
『週刊東洋経済』12月23-30日 新春合併特大号の特集は「2024年大予測」。世界と日本の行方を総展望する。
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日本のジェンダー格差の深刻さが知られるようになったのはここ数年のこと。今やその解消が必要だという主張に表立って反対する人はほぼいない。
企業や政界をはじめ具体的な行動も起きているが、女性リーダーの育成には十数年単位の時間が必要で、結果が出るのはその先だ。
格差が解消しないのは女性の努力不足からだと問題をすり替えるのではなく、それを生む構造に斬り込む必要がある。
そこで最初にお薦めしたいのがエッセー『わたしたちが沈黙させられるいくつかの問い』。
女性の社会参加が進んでも、彼女らが声を上げようとすると、「ご結婚は」「お子さんは」などと脱力する問いにさらされ、性暴力などを含む性差別により沈黙させられてきた。「#MeToo」運動に発展する前段に何が起きているかを描き出した作品だ。例えば、会議で女性が発言をしても評価されないのに、同じことを男性が言うとなぜか「いい意見だ」と。直に女性は自信を失っていく。
顕著な例がジャニーズ性加害
ただ男性も、男社会の中で出世するための行動規範に縛られ、声を奪われている。
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