政治学者で、『さらば、男性政治』で2023年の石橋湛山賞を受賞した三浦まり氏が選ぶ名著3冊。
日本のジェンダー格差の深刻さが知られるようになったのはここ数年のこと。今やその解消が必要だという主張に表立って反対する人はほぼいない。
企業や政界をはじめ具体的な行動も起きているが、女性リーダーの育成には十数年単位の時間が必要で、結果が出るのはその先だ。
格差が解消しないのは女性の努力不足からだと問題をすり替えるのではなく、それを生む構造に斬り込む必要がある。
そこで最初にお薦めしたいのがエッセー『わたしたちが沈黙させられるいくつかの問い』。
女性の社会参加が進んでも、彼女らが声を上げようとすると、「ご結婚は」「お子さんは」などと脱力する問いにさらされ、性暴力などを含む性差別により沈黙させられてきた。「#MeToo」運動に発展する前段に何が起きているかを描き出した作品だ。例えば、会議で女性が発言をしても評価されないのに、同じことを男性が言うとなぜか「いい意見だ」と。直に女性は自信を失っていく。
顕著な例がジャニーズ性加害
ただ男性も、男社会の中で出世するための行動規範に縛られ、声を奪われている。
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