野党3党の「複雑な関係」で最も得する意外な人物 立憲、維新、国民民主…それぞれの思惑
むしろ、「我々は国民民主党の年収の壁の引き上げについては大賛成であるし、それを邪魔するつもりは毛頭ない」と国民民主に対する理解を示した。
そもそも前原氏は2023年末まで国民民主に所属し、代表代行を務めたが、2022年度本予算案に賛成するほど自民党に近寄った玉木氏の方針に反発して離党。1993年に国政に進出して以来、「自民党に代わるもう1つのかたまりを作る」という持論を捨てていない。
これは松下政経塾の先輩でもある立憲民主党代表の野田氏の「非自民・非共産の大きなかたまりを作りたい」という考えに相通ずる。実際に前原氏は今年9月、野田氏が立憲の代表選に勝利した時、「薩長同盟が進むことを期待したい」と秋波を送っている。
石破政権は野党の動きを巧みに利用
だが維新の吉村洋文代表は13日に日本記者クラブで行った講演で、「立憲民主党とは全く憲法観も違うし、政策の根本的な価値感も違うところが多い」と述べてこれを否定。
国民民主については、「次世代のことを考えるという価値観は非常に近いと思うところがある。現役世代に対する政策など、協議できることがあればしていきたい」と前向きの姿勢を明らかにしている。
一方、少数与党に転落した石破茂政権は、こうした野党の動きを巧みに利用して生き残りを図っているようだ。例えば国民民主が主張する所得税最低ラインの「178万円」を実現すれば7〜8兆円の税収が減少することになるが、維新の主張する高校無償化は6000億円で、公立中小の給食費無償化は4900億円と、2つを取り入れても“格安”となる。
28議席の国民民主と38議席の維新、さらに148議席の立憲を合わせると214議席となり、215議席の自公とほぼ同数になる。しかし、皮肉なことにそれぞれの党が独自性をアピールすればするほど、石破政権の延命を助力する結果となっている。その均衡が破られるのはいつなのか。
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