ゴミ屋敷に彼女を呼ぶことなんてできない。だから片付けを決意したのだ。ゴミ屋敷の住人が心を開いてくれたとき、イーブイが気をつけていることがある。それは、自分たちも楽しそうに片付けをすることだ。
「依頼主さんには少なからず後ろめたい気持ちがあります。そこで僕らが『汚いな』とか『これもゴミですね』とか、否定的な言葉を使えば傷ついてしまい、万が一またゴミ屋敷になったときに業者に電話することすらできなくなってしまうかもしれません。私たちも楽しんで作業をすることで、依頼主さんの羞恥心が消えていくんです」(二見氏)
最後は自分の力で片付けたい
片付けはわずか2時間で完了した。男性は長らく部屋の状態に悩んでいたが、ワンルームの片付けなどイーブイにとっては朝飯前といってもいい。
部屋のゴミは跡形もなくなったが、床や壁の汚れは残っている。床の掃除くらい、スタッフが作業しても問題ない。しかし、男性は「最後は自分で綺麗にしたい」と言った。
「この依頼主さんは自分を責めまくっていました。それこそ、“自分は人間的に欠陥がある”と負い目を感じてしまっていたくらいです。でも、誰だって失敗するじゃないですか。僕らも『誰にでもありますよ、これくらいすぐに片付きますよ』と声をかけました。最近までイーブイで一緒に働いていた私の弟も、自分の部屋がゴミ屋敷になってしまったことがあるくらいですから」
変わりたいけど変われない。自分の力でどうにかしたいけど、どうしたらいいかわからない。そんなもどかしさが男性の言動に表れていた。
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