【さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる本連載『「ゴミ屋敷」孤独な部屋の住人たち』。2024年に配信した中でも、とくに反響の大きかった記事をお届けします。こちらは2024年1月20日に公開した記事の再配信です。】
「母の家がゴミ屋敷になっている。助けてほしい」
そうSOSを出したのは関西地方のとある施設に入所する男性だった。助けを求められた施設の職員が男性の実家を訪れてみると、部屋の荒れ具合は想像をはるかに超えていた。何百匹というゴキブリが家中を這い回っていたのだ。
YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信するゴミ屋敷・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)が、男性の母親が一人で暮らす家へ片付けに向かった。なぜ、母親の家はゴミ屋敷と化してしまったのか。
すべての部屋が生ゴミだらけ
「自分たちにできることがあれば」
男性が入所する施設の職員がそう思いながら部屋のドアを開けると、玄関、キッチン、トイレ、風呂場、リビング、2つの和室、すべての部屋がゴミでいっぱいになっていた。床が見える場所はほとんどない。
目につくのは、空の食品容器、空き缶、ペットボトルなどの生活ゴミだ。ゴミ袋にまとめられることもないまま、ゴミの山がいくつもできている。壁際にいたっては、そのゴミ山は天井まで届くほどだ。とくにキッチンとリビングには生ゴミが密集しており、食べ物の腐った臭いが鼻をつく。ゴミの上を歩いて進んでいくと、1カ所だけ足元が安定する場所があった。その下にはテーブルが埋まっていた。
「従業員を何人か集めたところで、自分たちの手に負える範囲ではない」
そう悟った職員は、イーブイに片付けの依頼をしたのだった。
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