「ゴミ屋敷のくぼみに寝る」母親が救われた瞬間【再配信】 息子の依頼で家が片付けられ新生活が始まる

✎ 1〜 ✎ 47 ✎ 48 ✎ 49 ✎ 50
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

スタッフがゴミの上に立つと、すでに頭が天井につきそうだ。まずは生活ゴミを掻き集め、ゴミ山の上ずみを取り除いていく。その下には新聞や紙類のゴミが埋まっており、使い終わった湿布薬も交っていた。

ホコリだらけの「タコ足配線」がゴミの中から出てきた(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

作業も3時間を超えるとひとつの和室は空になり、息子が小学校に入学するときに買ってあげたという勉強机が出てきた。片付けが進むにつれ、写真のアルバムなど昔の思い出の品がゴミ山の中から発掘されていく。すると、母親の表情も心なしか明るくなっていった。

「新しいベッドを息子が買ってくれるねん。どこに置こうかな」

それから2時間後、計5時間の作業ですべてのゴミが部屋の外に運び出された。わずかに残った荷物の下には、ボロボロに擦り切れた畳がある。ふすまも穴だらけだった。

作業が終わりゴミがなくなったキッチンダイニング(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
この記事の画像を見る(23枚)

母親の「夢」が叶った瞬間

「きっかけをくれた息子には感謝しかない」

見違えるほどきれいになった部屋を見て、母親はそうつぶやいた。

「床を見たのは10年ぶりくらい。足が悪い中、トイレに行くのにもゴミを跨いでいっていたから。でも、モノがなくなっていくのを見るのは苦しいんですよ。思い出のモノがなくなるなあと。でも、息子にもちゃんとした生活をしてもらいたいと思ったから、しゃあない。これで息子もたまに泊まったりできるかな」

15年越しの母親の「夢」が叶った瞬間だった。

「しばらくベッドも届かないので、それまでどこで寝ようかな(笑)」

母親はこれから始まる新生活に希望を持っている。

ゴミ屋敷連載
この連載の一覧はこちら
國友 公司 ルポライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事