転職という「派手で分かり易いアクション」の罠 4月入社に向け「転職市場」が盛り上がる季節が到来

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逆に言うと自分不在の状態の転職とはこの対局で、良く考える事なく何となくで流されて転職、というパターンである。

そして転職という分かり易いアクションを起こす事で、何かをした気になったり、現状抱えている不満や不安の払拭になるという根拠のない陶酔感に酔いしれる。

しかし現実としては職場という箱が変わっただけで、自分自身の価値もスタンスも志も何も変わっていないので、少しするとまた同じような不満や不安を抱える、という事になるパターンだ。

転職は目的ではなく手段である、とはよく言われるが、そこに共通するものがある。

大切なのはベストタイミングを自ら創り上げていくこと

いずれにしても、自分自身が不在にならない様に、自分にとってのベストのタイミングを自ら創り上げていく気概がまずは大切だし、それが転職を成功させる前提という事を心得よう。

さて、次に相手サイド=転職候補先にとってのベストのタイミング、という事であるが、これは仕事内容と個々の事情による、という事になろう。

個々の事情とは前担当者との引継ぎのスケジュールだとか、又は新規事業や新規部署の立ち上げのタイミングとか、そういった個々の事情で非常に分かり易いと思う。

加えてあるのが仕事内容により、というポイントだ。

これは例えばIRや経理担当であれば決算などのスケジュールを考慮した上で、という事になろうし、営業であれば新製品投入のタイミングとか新年度開始のタイミングとか色々とあるであろう。

少なくとも、何も考えずにとりあえず4月1日とか10月1日、というよりは、そういった個々の業務スケジュールを考慮した上で、「●●のタイミングでは如何ですか」と自分から提案出来た方が、出来るビジネスパーソンの印象を相手に与えられるであろう事は言うまでもない。

つまり、そこにも戦略性が必須、という事だ。

新年度だから、ではなく、個々の業務スケジュールを加味した上で、双方にとってのベストのタイミングを計る事が重要だし、業務スケジュール的にベストなタイミングとかすなわち相手にとってもベストのタイミングの一つである事はほぼ間違いないだろう。

キャリアにしても人生にしても、例えばキャリアについて言えば、広い労働市場というマーケットにおいて、戦う場所を見極め、一労働者としての自分のポジショニングを如何に確立し、そして売り込んで行くかが求められる、という意味においてはまさに経営戦略との共通項目が多々あるし、非常に似通っている。

だからこそ、キャリアや転職には戦略性が重要なのだ。

転職という派手で分かり易いアクションそのものに自分が振り回されるのではなく、より本質的な如何にして自分自身の価値の源泉を強化し、その為には何をどのタイミングで行うのがベストかを見極める審美眼を持つ事が重要だ。

自分自身の人生とキャリアの主人公は自分である。これを念頭に今年も一年走り続けましょう!

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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