「花山法皇の娘」のあまりに"壮絶すぎる最期" 恋愛に奔放だった法皇は母子と関係を持つが…

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ところが、それから3日後。皇女を殺したという盗賊の頭が自首してきます。これにより、一件落着……にしては謎が多すぎます。

まず、この自首してきた盗賊首領の名前が伝わっていないのも不自然です。皇女殺しという重罪を犯したのだから、本来は名前くらいは記されているでしょう。

理由もなく左遷された道雅

事件から2年後の1026年、道雅は理由もないのに、左近衛中将を罷免され、閑職(右京権大夫)に追いやられます。左遷です。

この左遷も、事件の影響とも言われていますが、定かではありません。そして突如、現れた謎の自白者(盗賊の首領)。彼は本当に皇女を殺害したのか。これも怪しいところです。何者かが、彼を犯人に仕立て上げ、自首させたと見たほうが自然でしょう。

皇女殺しの黒幕として浮上した藤原道雅ですが、彼に容疑がかけられたままでは、いろいろとややこしいし、仮に彼が黒幕だった場合、どのような罰をくだせばいいのか。そのような難題から逃れるため、そして事件の幕引きを早期に図るため、偽の犯人が用意されたのではないか。謎が多い「未解決事件」と言えるかもしれません。

(主要参考・引用文献一覧)
・繁田信一『殴り合う貴族たち』(柏書房、2005)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数
X: https://twitter.com/hamadakoichiro

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