英国政府観光局(ビジットブリテン)は今月初め、在英のプレス関係者をトゥイッケナムスタジアムのメンバーズラウンジに集め、「大会中の観光プロモーション」に関する説明会を行った。国外からやってくるサポーターたちに「試合の無い日にどう遊んでもらうか」も重要な課題だ。
試合が行われる全10都市では、街中に「ファンゾーン」というパブリックビューイング会場が設けられる。収容人数は5000〜1万人超。主に別の街で開催される試合がライブ中継される。会場にはパブさながらのバーやスナックの屋台が並ぶという。
また、競技を超えた試みもある。例えばサッカープレミアリーグに今シーズン移籍した岡崎慎司選手が所属するレスターは、ホームスタジアムを10月1週目にラグビーW杯の試合会場として明け渡し、3試合を集中的に催行。中心街では街の道路を開放して、市民向けのラグビーの試合などを催す予定だ。
観光局の担当者は、「英国のさまざまな文化的行事を体験してほしい。大会中には映画『007』の新作「Spectre」も封切られるが、これもわが国を代表するコンテンツだ」と鼻息も荒い。
数十万人に達するサポーターが英国内のあちこちを動き回るにもかかわらず、宿不足や交通の混乱に関する懸念はどこからも聞かれないのが意外だ。主催者は事前の情報をメールや携帯のショートメールを使って、サポーター1人ずつにこまめに送付し、当日の移動に関する対策を促している。一方、各地の観光局では、「観戦の日は早めに開催地に赴いて、街を存分に見てほしい」と案内しているが、これには試合前の混雑緩和も念頭に入れているという。
日本大会で、数十万の外国人サポーターをどう迎える?
日本大会では、「日本そのものに興味を持たない外国人サポーターたち」をどうもてなすかが今後の課題かもしれない。西洋人が慣れ親しんでいる東南アジア諸国で長期滞在して、自国代表の勝ち抜き状況をにらみながら格安航空(LCC)などで日本に試合を見に通う、というサポーターたちも大勢いるだろう。大会の運営そのものに気を取られて、観光に対する環境整備をおざなりにすると、せっかくのインバウンド需要を失ってしまう懸念を感じる。
国際ラグビー界では、アジア初となる日本大会を「新たな市場拡大の好機」と捉えられている。ブリーフィングに同席した関係者のひとりは、「私たちはイングランド大会の開催が決まった2009年から綿密な準備を進めてきた。日本の皆さんには『まだ4年ある』ではなくて、『あと4年しかない』と思ってキャッチアップしてほしい」と今後の追い込みに期待感を示した。
イングランド大会の勝負の行方はもちろん気になるところだが、発祥国のラグビー文化を知る絶好のチャンスだ。報道や映像などを通じ、次期開催国の日本に「W杯のチカラ」が広く伝わることを望んでやまない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら