北尾吉孝氏は「バイオ・エンジェル」になった SBIがバイオ事業の育成に邁進する理由

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会社を作るときにコーポレートミッションを決めた。そのひとつが、「New industry creator」になろう、ということ。日本が「ものづくり」で世界を席巻した局面は終わり、中国をはじめとする新興国に譲らないといけない。それでは、資源のない日本はどう生きていくのか。21世紀の脱工業化社会はどうあるべきなのか。

そう考えたときに、まずIT産業、とくにモバイルや通信。次にバイオテクノロジー、そしてクリーンエネルギー、オルタナティブ(代替)エネルギーといったエネルギー産業。日本全体がこういうところに投資して新しい産業を作らんといかん、そういうところへ僕らも投資しようと考えた。

ビジネス以外にも、東京国際クリニックという最新鋭の機器を入れた病院やSBI大学院大学なども設立した。利益は出なくても世のため人のためになること、正しいことをする。儲かることだけを考えていたら「利業」になってしまう。『菜根譚』にも「徳は事業の基なり」と書かれている。

iPSを端緒にして日本にバイオ産業を興す

――SBIグループのバイオベンチャー投資は、ベンチャーキャピタルの中でも目立っています。すでにジャスダックやマザーズに上場を果たしたバイオベンチャーは10社を超えています。

1999年7月にSBIグループを立ち上げたが、2015年3月期末までに内外で1043社に投資し、そのうちIPO、M&Aを合わせたエグジットは195社になった。今年度中に新たに20社が加わる予定だ。成功確率17.6%で、極めて高い。特にバイオインダストリーは大事な投資先と考えている。

21世紀に入ってすぐに、山中伸弥京大教授(現)が世界で初めてiPS細胞の作製に成功し、2012年にはノーベル賞を受賞した。これを端緒にして、日本にバイオ産業を興さなければいかん、と考えた。これまでのファンド総投資額3900億円のうち、バイオ関連は252億円。投資ファンドとしてだけでなく、自らもバイオテク企業3社、SBIバイオテック、SBIアラプロモ、SBIファーマを立ち上げた。このほかにアメリカのクオークというバイオ創薬ベンチャーを買収している。小さいが、ノバルティスやファイザーからマイルストーンを得ている会社で、将来性は高い。

ファンドにしろ、自社投資にしろ、選択の基準は、「ユニークで今までにないものをクリエートしていく企業」という点だ。

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