韓国「本当の」戒厳令を経験した日本人の回想 1970~80年代、軍人によって抑圧された社会のリアル
尹錫悦の戒厳令「まったくお粗末」
――宮塚先生が韓国に滞在されたのはいつごろになりますか。
1973年5月から1981年5月まで。韓国の農村経済・文化などを研究するために渡韓しました。朴正熙の時代であり、政治がとても荒れていた時期でした。閉塞感がいっぱいの時代でした。
――朴正熙が戒厳令や緊急措置を相次いで出し、そして全斗煥がいわゆる「12・12粛軍クーデター」で軍の実権を握り、政治の表舞台に出てきたころにわたりますね。当時の状況を比べると、今回、尹錫悦による戒厳令騒ぎはどうご覧になりましたか。
まったくお話にならないほどお粗末なものでしたね。尹錫悦が出した戒厳令は、結局は国会が反対するから、自分の妻に対する政治的攻撃がひどいからといったような理由からでしょう。単純な理由で戒厳令を使うとは。準備も足りないし、戒厳令の主役となる軍の出動も少なかった。説得力のない戒厳令であることはすぐにわかりました。


















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