「海に眠るダイヤ」2018年を描く"最大の謎"の真相 現代編の設定が、なぜ「2024年」ではないのか
コロナ禍に入る前に設定するほうが都合がいいからであろうという説もあるが、このコラムでは、「2018年」が平成の終わりの目前であることに注目したい。
『海に眠るダイヤモンド』は昭和を振り返ると同時に、失われた平成に思いを馳せるドラマなのではないだろうか。
2018年、稼げないホストとして荒んだ日々を過ごしている玲央(神木隆之介)は、あるとき偶然出会った高齢の女性・いづみ(宮本信子)に結婚を申し込まれる。
彼女は大企業の社長をやっていて、玲央は逆シンデレラ状態。彼はいづみの忘れられない人・鉄平(神木の2役)にそっくりだった。父母のことをよく知らなかった玲央と、いづみが愛する鉄平という人物はなんらかの関わりがあるのだろうか。
さかのぼって1955年、長崎・端島。ここでは鉄平が家族や隣人と暮らしている。
炭鉱が主要産業で、それを束ねる企業・鷹羽鉱業で勤務する鉄平を取り巻く女性たちは、食堂の娘・朝子(杉咲花)、鷹羽鉱業職員の娘・百合子(土屋太鳳)、福岡から来た素性のわからないリナ(池田エライザ)の3人で「いづみ」という人物はいない。
この3人の誰がいづみなのか、とドラマの初期はSNSで考察が盛り上がった。
第1話の冒頭、夜の海に赤ん坊を抱え、小舟で出ていくリナがいづみで、赤ん坊が玲央の父親なのではないか等々……。
※以下、ネタバレ箇所があるため、気をつけて読み進めてください。
朝子の波乱万丈な人生
謎を引っ張りに引っ張って、いづみが朝子であったことがわかるのは第7話であった。出水朝子で「いづみ」。端島の食堂の看板娘として、貧しいけれどそれなりに平凡な日々を大切に送っていた朝子は、思いもかけず波乱万丈な人生をたどることになる。
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