「海に眠るダイヤ」2018年を描く"最大の謎"の真相 現代編の設定が、なぜ「2024年」ではないのか
中盤以降、朝子が主役じゃないかという感想もあったほど回を追うごとに朝子の人生は劇的なことになっていく。
そこには朝ドラ感がある。朝子の人生はまるで、少女期苦労した人物がビジネスで成功して自身の足跡を振り返る、朝ドラの絶対王者『おしん』(1983年度)のようにも見える(『おしん』は山形から出稼ぎに出て苦労した主人公がやがてスーパーの経営者となる)。
朝子はその小さくきゃしゃなカラダにたくさんの重荷を背負わされている。戦争中、百合子が長崎で被爆するきっかけを知らずに作ったという過去があった。
だが百合子は朝子にそのことを知らせていない。母を被爆による後遺症で亡くし、自分もいつか……とおそれながら百合子は生きている。
そんな彼女を炭鉱会社の息子・賢将(清水尋也)は守ろうとする。
一方、朝子は鉄平と両思いだったのだが、鉄平の兄・進平(斎藤工)が炭鉱事故で亡くなったことで事情が変わる。彼の内縁の妻で息子・誠もなしていたリナの面倒を、鉄平は見ざるをえなくなるのだ。
朝子と鉄平の顛末に胸が痛む
最終回目前、第8話では、朝子と鉄平がじょじょに引き裂かれていく。端島では皆、それぞれ、何かを我慢しながら精一杯幸せを見つけようと懸命に努力しているのだ。
事故により炭鉱が閉鎖されると、島を出ていく人たちがあとを絶たない。だが、未開地から石炭が出れば炭鉱は復活できるはず。そのために鉄平は尽力し、石炭が出るまでと、朝子は彼を待ち続けるのだが、石炭が出ても、彼は戻らなかった。
やがて朝子こといづみは、食堂で働いていた虎次郎(前原瑞樹)と結婚し、和馬(尾美としのり)と鹿乃子(美保純)を産む。現代パートでいづみの会社の乗っ取りをたくらむ姉弟は端島生まれだったのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら