「子ども連れ去り」SNSで妻糾弾した夫のその後 「モラハラ離婚」に同意するに至った彼の劇的変化

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にさごさんがGADHAのほかにも役立ったものとして紹介してくれたのは、ホワイトリボンキャンペーン・ジャパンのプロジェクト『 #ボクらは誰も傷つけたくない 「男らしさ」の謎を探る冒険』のパンフレット。サイトからも読むことができる(写真提供:にさごさん)

加害者が自覚すること、学ぶことの大事さ

別居や離婚でもめるカップルや「連れ去り」を訴える人の家庭事情には、幅広いグラデーションがあります。今回紹介した体験談はその一例に過ぎませんし、なかには本当に不当に子どもに会えなくなった家庭もあることでしょう。ただ、「連れ去り」「実子誘拐」を扱った報道が、片方の意見だけで構成されることが多いことに私は前から疑問を感じていました。なぜなら、もめている夫婦の意見や主張が正反対なのはよくあることだからです。そういう意味で、元夫婦両方の意見を聞けた今回のインタビューはとても貴重だと感じたのです。

このインタビューで学んだのは、「連れ去り」の理由が「無自覚の加害」にあった場合、「連れ去り」と相手を責めることによって、さらに状況を悪化させてしまうこともある、家庭が幸せから遠のいてしまうこともある、という事実でした(加害が無自覚に行われがちだということについては、前回の記事を参照してください)

このおふたりには共同親権についても意見を聞いてみました。にさごさん(父親)は「親権よりふたりの関係性のほうがよほど大事。共同親権になることでパートナーを苦しませる関係性なら、よくないのではないか」と言い、ちまこさん(母親)は「私たちが離婚したときに共同親権制度があったら、もっと怖かったと思う。とにかく私は彼への恐怖感がなかなか消えなかった。彼をすぐ信じることもできなかった。だから、会わない期間を作ること、関係を一度切ることがとても大切だった。共同親権だと、子どもを介してどうしても元パートナーとつながることになる。モラハラやDVの被害者にとっては、つながっているという感覚がしんどいのでは」と言います。

さらにちまこさんは「モラハラやDVを受ける生活を長く続けていると、だんだんとそこから動く気力もなくなってくる。まだ気力のあるうちに一歩を踏み出すのが大事。自分から動けば、助けてくれるところはきっとある」と言います。それに対して、にさごさんは「加害者側は、その一歩を踏み出せないように縛り付ける。逃げられないようにする。だからこそ、加害者自身が変わることがいちばん大事」と言います。彼はそれゆえにGADHAのような場所で加害者が自覚すること、学ぶことの大事さを伝えたいそうです。

さて、次回は、海外在住の元夫婦に伺った、リアルな共同親権生活事情を紹介します。

ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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