窪田:おっしゃる通りで、小学生の時期にできるだけ外で活動をすると、近視になるのを防いだり、近視が進むのを遅らせたりすることができます。すでに大規模な臨床試験でも証明されているんです。
目について先進的な取り組みをしている台湾では、小学生を対象に学校で1日2時間程度、屋外活動が義務づけられています。その結果、近視の発症が抑えられているというデータもあります。
為末:それがすごく面白くて。外遊びの重要性が腑に落ちました。子どもたちのためにも、外遊びを推進する活動は「絶対にやったほうがいい」と思ったんです。
窪田:具体的にはどんな活動を?
為末:子どもの外遊び時間が減少し、遊び場の確保が難しくなっている現状を改善するために、学校で子どもたちや保護者の方に向けたイベントを開催したり、オンラインで情報発信をしたりしています。2021年には会で取りまとめた提言書を、子ども家庭庁に申し入れました。
窪田:子どもの外遊びの重要性について、政府や一般の方たちに伝える活動をされているのですね。
為末:はい。子どもを取り巻く問題には、貧困や虐待など、緊急度の高いものがありますので、最優先というわけにはいきませんでしたが、それでも理解を広めてもらうための第一歩はクリアできたかなと思っています。
近視になるかどうかは、遺伝ではなく環境による
窪田:「外あそび推進の会」での活動を通して、親御さんたちからはどんな反応がありましたか?
為末:まず「外遊びの時間が減ると近視になりやすいと知っていましたか?」と聞くと、皆さん「知らなかった!」とびっくりされます。
目に関しては、スマートフォンの見過ぎなどを気にしている親御さんは多いものの、日中に太陽光を浴びることが近視の抑制になることは知らない人がほとんど。「近視は遺伝するから仕方がない」と思っている人が多いなと。