「軽」がホンダを変える、クルマ作りを抜本改革

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契機となったのが、昨年3月に発生した東日本大震災だった。栃木の開発センターが被災。ホンダは鈴鹿や狭山製作所(埼玉県狭山市)などにサテライトオフィスを設け、開発業務を続けた。浅木研究員も約2カ月間、鈴鹿で寮生活を強いられたが、「生産現場で図面を描く効率性をあらためて実感した」。災い転じて福となす。量産前の試作車段階だったが、生産現場で発生したトラブルをスピーディに解決できたという。

ホンダは海外の開発体制強化を急いでおり、その雛型を鈴鹿に作ろうとしているのだ。鈴鹿に常駐する開発部隊の規模や時期は未定だが、将来的にはプラットホームを栃木で造り、車体や内外装などアッパーボディを海外の開発拠点に委ねることも想定している。

「各地域が自主的に事業を回せるようにする。まず鈴鹿でその仕組みを確立する」(松本統括)。N BOXでは、開発段階で造る試作金型を減らし、開発費を従来比2~3割レベルで削減した。軽を収益事業に転換させ、日本だけで自立できる体制を作る。それを成し遂げたうえでホンダは、N BOXの取り組みを海外拠点、特に新興国へ順次波及させようとしている。


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