「軽」がホンダを変える、クルマ作りを抜本改革

シリーズ化を可能にするには、プラットホームそのものに競争力が必要になる。浅木研究員は「このプラットホームには数年間、時間がある」と表現する。燃料タンクを前席下に配置する独自の「センタータンクレイアウト」に加え、N BOXではエンジンルームを小型化し、アクセルペダルを通常より70ミリメートル前に出して、室内空間を最大化した。「タイヤの直径を考えればこれ以上前には出せない」(同)。現在の軽の規格が続くかぎり、競合他社がこれ以上室内空間を広くすることは難しい。

さらにこだわったのが車の軽量化だ。今回は国内初となるインナーフレーム工法を採用した。同工法では、車のボディ骨格を最初に溶接してから、外板を張り付ける。強度が増すうえ、ボルトや補強材を減らせる。そのほかにも厚さの異なる鋼板を1枚につなぎ合わせたり、新しいプレス手法を導入して、従来から約1割の軽量化を果たした。

鈴鹿に軽の専用ライン 開発部隊も鈴鹿常駐へ

生産体制にも手を入れる。N BOXでは、これまで軽の生産を担ってきた子会社の八千代工業から自社の鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)へ生産を移管、鈴鹿には軽量化のための新規設備を導入した。通常一つの車種は海外を含め複数工場で生産することが多く、新規設備の導入は簡単ではない。しかし「軽ならば国内だけなので、新たなチャレンジがしやすい」(浅木研究員)。

鈴鹿では当初、ほかの乗用車と同じラインで生産する混流生産からスタートするが、Nシリーズとして量を出すことで2本のラインのうち1本を軽専用ラインとする計画。軽専用ライン化をにらみ、自動化をさらに推進、組立工数を2~3割減らす取り組みにも着手した。

もう一つ、鈴鹿で取り組むことがある。開発部隊と生産部隊の連携だ。現在ホンダでは開発の栃木一極集中を改め、鈴鹿に開発部隊が常駐する体制を検討している。

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