「軽」がホンダを変える、クルマ作りを抜本改革
生産面での現地化はホンダも確かに進んでいる。だが、開発の現地化はライバルに比べ明らかに遅れた。日本での軽の苦戦もこの構造と根っこでつながっている。世界で売れる車作りを優先するあまり、日本独自規格である軽の開発が後手に回ったことが大きい。
ホンダ伝統の「箱単位」から決別
これまでのホンダの車作りを変える──第1弾がN BOXなのだ。
開発責任者である本田技術研究所の浅木泰昭主任研究員は、以前は北米でアコードを担当していた。「自分が世界のホンダを食わせているという気構えだった」(浅木研究員)。が、一転して担当した軽は、事実上赤字の状態。「自分の給料ぐらい稼げるようにする」(同)ために考えたのが、「シリーズ化」だった。
N BOXは一つの“箱”では終わらない。同車のエンジンやCVT(無段変速機)、トランスミッションなどはすべて新開発だが、ホンダは今後このプラットフォームを用いた軽を「Nシリーズ」として売り出す。今年春に車中泊もできる趣味性を高めた新型車、今年後半にはセダンタイプの投入も決まっている。
軽は国内専用で量が出ない。だからこそ、プラットホームを共通化する。部品調達先(サプライヤー)とは、3~4車種のボリュームを前提に取引できる。「今後は“箱単位”の開発から、戦略的にプラットホームを活用していく」(松本統括)。