インド、巨大な手つかず市場「低所得者層」を狙え ヤマ発、テラモーターズが挑む2輪・3輪の新事業

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インドの3輪ドライバーの年収は40万円程度。月々得られるドライバーとしての収入から無理なく返済ができ、1年半~2年の貸付期間でだいたい完済できるという。購買者の大半は信用履歴のない低所得者層のため信用リスクは高いが、テラモーターズには3輪を自社開発している強みがある。

1台1台の車体にIoT機器をつけることで3輪EVの稼働状況をつねに把握。返済金の回収に活用するほか、何か問題が起きたらGPSで位置データを確認し車体を回収したり、遠隔操作でモーターを止めたりすることもできる。実質的に車体を担保にローンの貸付を行い、貸し倒れのリスクを最小限に抑えている。

開始から3年、現在の貸付実績は6500件を超えデフォルト率は2%を切っている。1年半でローンを完済した後に、再びローンを組んで効率的に稼げる高速3輪に買い替えてもらうという循環もできつつあるという。

インドの成長スピードについていく

開発を終えて、まもなく投入予定の高速3輪EV(写真:テラモーターズ)

「4~5年ぐらいのスパンで新興国の貧しい人たちの生活をしっかり良くしていくことができる。そのうえで、当社は3輪の販売と金融事業で収益を上げ、インド社会ではEVが普及していく」と、上田社長は狙いを語る。

インドでは、排ガス規制強化の動きが加速している。2027年1月以降、デリー首都圏では既存のディーゼル3輪車が走行できなくなる環境規制が施行される。「足元のEV化の追い風は強い。とにかくいまはインドの成長スピードについていくのが大変だ」(上田社長)。

人口は中国を超え、経済成長が本格化するインド。魅力的な反面、激しい競争と混沌、著しい経済格差が同居する難しい市場でもある。攻略には、ヤマハ発動機やテラモーターズのような、現地の実情に合わせた新たなビジネスモデルの開拓が求められる。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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