インド、巨大な手つかず市場「低所得者層」を狙え ヤマ発、テラモーターズが挑む2輪・3輪の新事業

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インド北部のハリヤナ州グルガオンでEV3輪を運転するドライバー(写真:テラモーターズ)

インドで普及する交通手段といえば「オートリキシャ」の呼び名で知られる自動3輪車。日本の「人力車」から名前を取ったインドの乗り合いタクシーだ。都市部をはじめ広くインド社会に浸透しており、タクシーやバスのような公共交通機関として庶民が日常的に利用している。

インドのオートリキシャにも近年、EV化の波が押し寄せている。環境汚染が深刻なインドでは補助金政策が導入され、とくに商用車が主体の3輪ではガソリン価格の高騰によるランニングコストも意識され、販売におけるEV比率は5割を突破した(2輪は5%、4輪は2%)。インドの3輪EVの販売規模は2021年の約15.6万台から、2023年には63万台と急拡大している。

3輪EVを自社開発し、インドの低所得者層の生活を支援しながら攻勢をかけているのが日本発のベンチャー企業であるテラモーターズだ。

20%成長でトップシェア争い

テラモーターズは2015年からインドでオートリキシャを電動化した3輪EVの販売を開始した。年平均20%程度の成長を続けており、現在は年間2万台弱を販売しているという。「シェアは4~5%で推移していて、間違いなくインドでトッププレイヤー群に入っている」(上田晃裕社長)。2023年度には黒字化も果たした。

成長の背景の1つに、「ドライバーの雇用を生んで、低所得者層の所得を底上げしてきたことがある」と上田社長は胸を張る。インドでは、オートリキシャの運転手は地方からの出稼ぎ労働者が始める代表的な商売の1つだ。

テラモーターズは当初、年収2500ドル(約37万円)から5000ドル(約75万円)の中間層4億人をインドでの顧客ターゲットにしていた。それ以下の低所得人口も2億人程度いたが、経済的余裕がないため顧客となりづらかった。

そこで、2021年に始めたのが金融事業のテラファイナンスだ。日本円で約20万円の低速3輪EVを買う際、頭金として25%を払えば、残りの75%のローンを提供する(年利は16.5%)金融サービスを開始した。

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