インド、巨大な手つかず市場「低所得者層」を狙え ヤマ発、テラモーターズが挑む2輪・3輪の新事業

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MBSIの中尾社長。2023年1月からベンガルールに駐在する。社員数は60人を超えるが駐在は3人で現地スタッフが中心(筆者撮影)

インドは年間約1700万台(世界の約3割)が売れる世界最大の2輪市場だが、ヤマハ発動機は販売台数シェアで5番手(4%)でしかない。インドではホンダのほか、現地企業のHero(ヒーロー)、TVS、Bajaj(バジャージ)などの競合がひしめき、価格競争も激しい。

そのためヤマハ発動機は、廉価で競争環境の激しいコミューターモデル(6万~9万ルピー=11万~16万円)の販売を大幅に縮小。2018年からは、スポーティーな高価格帯モデル(17万~19万ルピー=30万~34万円)の販売に特化するプレミアム戦略に舵を切り、インド事業の収益力を回復させている。

一方、MBSIが最終顧客のターゲットとするのは、年収50万ルピー(90万円)以下の「ボトム・オブ・ピラミッド」と呼ばれる低所得者層。社内ベンチャーとして、14億の人口の65%を占める低所得者層、その潜在的なマーケットの掘り起こしを進め、新興国の成長を取り込む構えだ。

保有車両の7割弱が他社製の2輪EV

また内燃機関に強みを持つヤマハ発動機は現在、インド市場に2輪EVを投入していないが、商用車が顧客の中心であるMBSIでは保有車両の7割弱が他社製のEVだ。インドでは高いガソリンコストと充電やメンテナンスにかかるコストの差で、長く使うほどランニングコストでEVの優位性が出てくるからだ。

「内燃機関中心で最初は考えていたが、実際にインドに来るとビジネスユースではEVの需要が強い。いやおうなしにEVを使わざるをえない」(中尾社長)。今後インドで電動化が一気に進んだときに、グループ全体として事業のリスクヘッジにもなる。

MBSIは事業開始から3年で単月での黒字化を達成、2024年は通年でも黒字化する見込みだ。中尾社長は「すでにインドの人口の85%をカバーする17の州・地域で営業許可を取っている。今後3年で5倍(保有台数)の成長を目指す」と語る。

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