「ポケモン」のレアカードに、給料の本質を学ぶ 「答えのない世界」で稼ぐ力<後編>

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稼ぐ力がある人というのは、平たく言うと高い「時給」が取れる人のことです。

たとえばマッキンゼーのような外資系一流経営コンサルティング会社のシニアコンサルタントだと、時給換算すると8万円くらいもらえると聞いたことがあります。

一方、ファストフードのアルバイトはどうでしょうか。都会と地方だと少し違いますが、大体、時給800~1000円くらいからスタートするところが多いようです。

つまり、シニアコンサルタントとファストフードのアルバイトでは、時給が100倍も違うのです。言い換えると、経営コンサルタントはファストフードのアルバイト店員の100倍も、稼ぐ力を持っていることになります。

稼ぐ力の条件

このように、経営コンサルタントとファストフードのアルバイトの稼ぐ力に大きな違いが生まれる理由は、ひとつしかありません。それが「希少性」の違いです。

ファストフードのアルバイトは、マニュアルワークと呼ばれるとおり、高度にマニュアル化された作業を教えられたとおりにこなせば、誰にでも務まるように設計されています。つまり、この仕事に就ける人は、世の中にごまんといるのです。

一方の経営コンサルタントは、そうはいきません。何といっても、会社にとっていちばん重要な、経営の根幹にかかわる諸問題を解決してもらうために依頼をするので、実績も豊富で腕が立つと評判の人でなくては、高いコンサルフィーを払ってもらうことはできません。そうなると、おのずと該当する人は限られてきます。つまり稼ぐ力のあるコンサルタントとは、希少動物なのです。

「レアカード」になれ!

藤原 和博(ふじわら・かずひろ)
教育改革実践家/杉並区立和田中学校・元校長/元リクルート社フェロー。1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問。14年から武雄市、15年から奈良市教育政策アドバイザーに。「アクティブ・ラーニング」のお手本である「よのなか科」が『ベネッセ賞』受賞。現在は全国の校長先生たちの校長として創造的マネジメントを教えるかたわら、教育界に蔓延する「正解主義」「前例主義」「事勿れ主義」を仮想敵として「一斉授業」を超える新しい教育メソッド開発に奔走中。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。出版は累計74冊123万部。ビジネス×教育×人生をテーマとしたワークショップ型の講演は累積1000回を超え、動員人数累計20万人に達する。

私が小学生や中学生に希少性とは何かを説明するときは、ポケモンの「レアカード」を例えに使っています。あれはまさに、数が少ないことが価値を高めている典型例ですね。中野のまんだらけで、1枚何万円もの値段がついているものもありますから。ただの紙のカードなのに。

ビジネスの世界で自分の希少性を高めるポイントは、掛け算で自分のキャリアの希少性を高めるように、編集することです。私の例で言うと、もともとリクルートで営業をやっていました。その後、同社でマネジメントに携わって、2003年からは、杉並区の和田中学校の校長を努めました。

つまり私は、ビジネスの世界で営業とマネジメントの能力を磨いた、公立中学校の校長経験者なのですが、こんなキャリアの人はほかにいませんから、私もまた極めてレアなカードなのです(笑)。

このように希少な存在になると、地方自治体の教育政策のアドバイザーとして声がかかったり、全国の学校長にマネジメントを教える役割を担ったりできるようになります。

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