禅が教える「ずっと不安が減らない人」の根本原因 転がせば転がすほど、悩みは重く大きくなる

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そのうちに、邪念が少しずつ薄れていくのに気がつくはずです。

例えて言うなら、私たちの心は、静かな水面です。そして一時の邪念は、水面に投じられる石にあたります。石は水面をかき乱し、たくさんの波紋をつくるでしょう。

このとき、波立つ水面を鎮めたいと思ったところで、人間にできることはありません。できるのは、ただ放っておくことだけ。しかし心配はいりません。もう間もなく、静かな水面が戻ってくるでしょう。それまで、ほんの少しの辛抱です。

「ありがとさん」を3回となえる

ただし、黙って「放っておく」ことなどできそうにないときも、あります。

瞬間湯沸かし器のように「ムカッ!」ときて、今にも爆発寸前、そんな場面です。私自身、若いころはケンカ腰の相手をうまくあしらえず、怒りにまかせて相手の土俵にのぼってしまったことがありました。

そんなときはどうすればいいでしょうと、私が心から尊敬する高僧、板橋興宗禅師さんに尋ねたときのことです。「すぐに反応してはいけないよ」と禅師さん。そしてこう続けました。

ありがとさん、ありがとさん、ありがとさんと、心のなかで唱えればいい

よく「頭に血が上る」といいます。頭に血が上ると怒りが爆発してしまうのなら、腹にとどめておけばいい。そのためのおまじないが「ありがとさん、ありがとさん、ありがとさん」なのでしょう。

怒りをコントロールするためのトレーニングである「アンガーマネジメント」の理論にも「怒りの感情は6秒しか続かないので、6秒だけ我慢すれば、怒りがおさまる」とあります。

ムカッときたときは、「ありがとさん、ありがとさん。ありがとさん」と唱えながら、6秒だけこらえましょう。頭を空っぽにできるおまじないです。

枡野 俊明 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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ますの しゅんみょう / Shunmyo Masuno

1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(以上、三笠書房)など。

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