禅が教える「ずっと不安が減らない人」の根本原因 転がせば転がすほど、悩みは重く大きくなる

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

それならば、「今、この瞬間」をひたすらに生きることです。何が起こるかわからない未来のことは横において、今この瞬間、自分がいるその場所で、できることを精一杯やるのです。

残り1割の心配事が的中したらどうするんだ」ーーそう言いたくなる方もいるかもしれませんが、大丈夫です。いざその時がきたら「今、この瞬間」に集中できるに決まっているからです。

例えば、家が火事になった。燃え上がる炎を前にしたら、必死で逃げるか、消火活動をするか、いずれにしても「今、この瞬間」のことで頭が一杯になり、不安など感じる暇はありません。

そして、そんなときにこそ人間はものすごい力を発揮するもの。火事場の馬鹿力とは、「今、この瞬間」を全力で生きる人間の「なんとかする」力のことをいうのでしょう。

では、どうしたら、不安を転がさずに生きることができるのか。どうしたら、「今、この瞬間」を生きられるのか。
 そのための知恵が、禅にはあります。

考えるより「動く」のが先

例えば、禅に伝わる「丹田呼吸」はいい訓練になります。「ふう〜〜〜〜」と息を長く吐いて、それからゆっくり息を吸い、息をおへその下まで落としていきます。

心が乱れているときは、呼吸も乱れているもの。しかし反対に、呼吸を整えることで、心が整い、不安を遠ざけることができます。

とにかく今すぐ動きなさい、今すぐ動けば不安は消える」という教えもあります。これを「禅即行動」といいます。

以前、私のお寺に元引きこもりの青年が掃除にきていたことがあります。一度は就職したものの人間関係に悩んで退職。それから部屋に閉じこもって考え事をしているうちに、身動きがとれなくなってしまったそうです。

しかし青年は、暑い時も寒い時も掃除をして汗をかきました。そのうちに、心をとらえていた不安が和らいでいき、半年もしないうちに社会復帰できました。

考えることは大切、けれども、動くことも同じぐらい大切。文武両道の言葉の通り、 文と武、頭と身体がバランスよく働かなければ、人は前に進めないのです。

不安を転がさず、「今、この瞬間」を生きる。それができたら、人生の9割は所詮小さなことだと、らくに構えていられるでしょう。

次ページムカついても「放っておく」 
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事