計算上は、未婚の年収中央値が17.5%あがれば未婚率は上昇しないということになります。年収17.5%アップと聞いてしまうと現実離れした話だと思うかもしれませんが、これは10年間の増加率で、1年あたり1.6%程度の年収アップで到達できる数字です。逆に言えば、この10年間未婚男性の年収はこの程度しかあがっていなかったわけで、それ自体が異常だったというべきでしょう。
男性の場合、年収があがらなければ、結婚に至らないということは明らかです。同時に、女性の場合も、自分より低い年収の男性と結婚するくらいなら、一人で自由にお金も時間も使った方がマシと非婚化します。どっちにせよ、「男の年収」が結婚の数を決定づけていると言えるでしょう。
求められる経済的な「お膳立て」
もちろん、これは賃上げだけの問題ではありません。額面の年収があがったからといって、手取りが増えるというものでもありません。社会保険料負担は増え続けていますし、ただでさえ何の手当も控除もない独身はいわば「ステルス独身税」を課せられているようなものです。今回ご紹介したように、未婚男性の年収中央値があがれば未婚率は改善する余地があるというのはひとつの突破口になります。
何度も繰り返しますが、婚姻数が増えなければ出生数は絶対に増えません。子育て支援も大事ですが、それだけでは新たな出生を生む婚姻には結び付きません。
今こそ令和のお膳立てが必要です。それは何も昭和の時代のように、結婚に向けて背中を押してくれるお節介上司や世話焼きおばさんを復活させることではありません。経済的なお膳立てが求められています。せめて中間層の若者が結婚に前向きになれるよう、官民一体となって、給料全体の底上げと減税などで背中を押してほしいものです。
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