具体的にデータで見ていきましょう。同じく就業構造基本調査より、30代の有業未婚男性の年収中央値を計算します。そして、その中央値年収での未婚率、つまり年収中央値未婚率というものを割り出します。
それによれば、年収中央値未婚率は、2012年48%だったものが、2022年には55%へと7%も上昇しています。前述した全体の未婚率と比べれば、全体より中央値における未婚率の上昇の方が大きいわけです。言いかえれば、2012年頃までは中央値の年収があれば、半分以上の52%は結婚できていたのに、2022年には45%しか結婚できなくなっている。つまり、結婚の年収ハードルがあがっているということです。
しかし、これはあくまで全国の数値です。当たり前ですが、東京と地方とではその年収分布も異なり、年収中央値も変わります。仮に絶対額の年収300万での未婚率を都道府県で比較してもあまり意味はありませんが、都道府県別の年収中央値で比較すれば相対的に正確な比較が可能になります。2012年と2022年の各都道府県の年収中央値未婚率を計算し、その増減を一覧にしたものが以下です。点線は全国値を表しています。
唯一、佐賀県だけが年収中央値未婚率が減少ですが、それ以外の都道府県は増加しています。しかも、増加幅は都道府県によって差があり、必ずしも全国値と同様な増加率にはなっていません。
地方の未婚率の増加が著しい
特徴的なのは、2012年においては、東京圏や愛知、大阪などの大都市が全国値より高い未婚率だったのに対し、2022年は大都市の未婚率増加は抑えられていて、むしろ地方の未婚率の増加が著しいこと。
特に、宮城、福井、滋賀、徳島などは10年前より20%ポイントもの大幅増となっています。それも、これらの県は2012年では全国値よりも低かったのに対し、2022年はいずれも全国値を上回る逆転現象が起きています。これは、10年前までは、その県の中央値の年収があれば結婚できていた層が結婚できなくなっていることを示します。
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