ソニーが狙うKADOKAWAのコンテンツという"金脈" 出版だけじゃない高利益を生むもう一つの事業

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これについて同社の決算説明資料では、「出版・IP創出における原価高、人材投資、ゲームにおける減収影響」などを理由として挙げています。詳細を知るために、セグメント別の業績を調べてみましょう(→下グラフ)。

100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』より)

グラフの通り、同社の主力事業は「出版・IP創出」で、当期は全体の売上の約半分、営業利益の56%を占めています。IPとは、「知的財産(Intellectual Property)」で、要は創作物のこと。同社は、毎年5500タイトル以上のIPを創出し、これを事業間連携(メディアミックス展開)することで、有力IPの収益最大化戦略を取っています。

また、人気ライトノベルを原作として、アニメ、ゲーム、グッズと水平展開することで得られるライセンス収入も年々拡大、収益の柱となっています(→下グラフ)。

100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』より)

当期、出版・IP創出の売上は前期から1.4%微増も、資材費上昇、編集体制強化のための人材投資、米国市場での減益などにより、営業利益は21.2%減少。

また、高い利益率を誇るゲーム事業では、子会社のフロム・ソフトウェアが22年に発売した世界的ヒットゲーム『ELDEN RING』の需要が一巡したことによる反動減もあり、前期から売上は16.5%、営業利益は44.1%減少。営業利益率も46.8%から31.4%に急減しました。

そのほか、Web、教育関連事業でも減益となった結果、経常利益は202億円(前期比24.1%減)、最終利益は114億円(同10.2%減)で、いずれも減益となりました。

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続いて、貸借対照表から健康状態をみていきましょう。

100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025
(画像:『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』より)

当期の総資産は3403億円で、前期から11.1%減少。ややスリムな体つきになりました。内訳をみると、流動資産が前期から425億円(16.1%)減少した一方で、固定資産はわずか0.1%減と、減少分のほとんどが流動資産だとわかります。

なかでも減ったのが現預金で、前期から619億円(37.0%)減少。一方で、売上債権は22.9%増、棚卸資産は19.3%増と、いずれも前期から増えました。

これらから仕入債務を引いた所要運転資金は、472億円から589億円に100億円以上増加。

手元流動性比率(会社が月商の何か月分の現金を手元にもっているか)は、7.9か月から4.9か月に悪化し、資金ポジションがよりタイトになっている様子がうかがえます。

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