ベトナムの超人気ピザ4P’s日本上陸までの道程 「ピザで世界に変化を」日本人が40店舗を経営
ピザが3000円以上と安くはないが、回転率で稼ぐタイプの店でもなく、すべてにこだわり抜いているだけに採算面が心配になってしまう。
「その点では、当初よりしっかり計算している」と久保田氏。客単価は昼3000円、夜6000円に設定しているが、ランチメニューがないため、実際はもう少し高くなっている。
原価率は高いものの、ほとんどが生産者から直送なので中間費はかかっていない。また物価高でも現時点で大きな影響は受けていないそうだ。
メンバーが直接動いて低コスト化
店舗の内装や調度なども、久保田氏をはじめメンバーが直接動き、木材などを競り市で入手するところから関わっている。そのため業者に任せるよりは低コストで済んでいるとのことだ。
「お客さんとの直接の接点にお金をかけるというのが当社の方針。食材、デザインや内装、スタッフには妥協しない。だから生産者やプロダクトのつくり手それぞれに直接会ってつながり合い、他の業種を思いやって動く、ワンネスの取り組みが広がっていく」(久保田氏)
ただし、計画の上では採算性が確保されているものの、実際は2024年9月になってようやく黒字化できたのだそう。
予約が取れない店としては不思議な現象だが、定休日や営業時間の制限、人材育成のため多くのスタッフを採用していたことが主な理由だそうだ。1周年を迎える11月からは軌道に乗り、連日営業している。
加えて12月からは生産者を訪ねるツアー事業を開始。参加料は講座や土器作り体験、食事付きで1万7000円。久保田氏もガイドの1人を務める。
こうして見てきて改めて感じるのが、久保田氏はPizza 4P’sの事業に欠かせない存在だということだ。久保田氏は世界20カ国を回ってピザを食べ歩き、Pizza 4P’sのピザが一番おいしいと思ったため、2016年から事業に関わるようになった。
コロナ禍におけるベトナムでの、廃業寸前の状況も体験した。外出禁止令が発令され、日本のような政府からの支援もないため、開発スタッフの多くも、やむなく解雇した。せめて失業保険が得られるようにとの意味合いもあり、のちに戻ってきたスタッフも多いそうだ。
2021年、ようやく状況が上向いたカンボジアに赴き新店舗開発。そして今回の東京店オープンを担当したのだそうだ。
久保田氏のように、Pizza 4P’sの目標に共感し自らのライフワークとして取り組む人材が継続には不可欠。バトンを渡せる次の世代の育成も、ブランドの次なる課題となってきそうだ。
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