エヌビディア、絶好調に見えてくすぶる「不安要素」 消えたサプライズ、マーケットの注目は「新製品」

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――今後注目すべきポイントは?

私もそうですし、マーケットが見ているのは次の製品ですね。今年の終わりからは「Blackwell(ブラックウェル)」という新しい製品が出てきます。この動向がどうなるのか、それに加えて、エヌビディアはBlackwellの先の製品までロードマップを描いているので、これが計画どおりに進むのかが関心事になっています。

焦点は2つあります。1つはきちんと計画どおりにBlackwellを出せますかという点。エヌビディアは製造を台湾のTSMCに委託しているのですが、今年7~8月ごろにTSMCの製造がうまくいかず、少し出荷が遅れるかもしれないという話がありました。

第2四半期の決算発表のときには「その問題はすべてクリアしました。いろいろな仕様の変更を行ってクリアしました。需要は2025年いっぱい供給できませんというレベルまでオーダーをもらっています」という話があったんですが、今回の決算直前にBlackwellをシステムとして組み上げたときに、発熱がすごいという報道が出たんです。

エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは「Blackwellをきちんと供給できる」と火消しに走ったのですが、Blackwellが問題ないとしても、その先は大丈夫なのかという疑問が出てきています。

Blackwellの次、2026年には「Rubin」という製品が出る予定ですが、Blackwellでつまずいているのに、本当にエヌビディアが描くロードマップどおりに製品が出てくるか、きちんと量を供給できるかという問題です。

利益率はこれからさらに下がっていく

もう1つは利益率の問題です。新製品が出れば普通は利益率が高くなると考えますが、エヌビディア自身が利益率はこれから下がるという話をしています。

エヌビディアの粗利率は足元で75%ぐらい。そもそもの水準として異常に高いのですが、これが半年前は79%ぐらいでした。Blackwellが立ち上がるにつれて70台前半まで落ちますとアナウンスしている。マーケットから見れば、Blackwellの供給に不安があるのに、これから利益率も下がると言ったので、株価にマイナス影響を与えたのだろうと思います。

では、なぜ粗利率が落ちるのか。その詳細についてエヌビディアは語っていませんが、TSMCの製造コストが高い、つまり歩留まりが既存の製品よりも悪いという問題があるのだと思います。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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