「高級スマホ」期待から一転、需要肩すかしの余波 中華スマホの回復遠く、期待はAIサーバー向け

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ハイエンド機種に代わり台数が増加しているのは、中華圏で生産されたローエンドモデルだ。アフリカやインド向けなどに輸出されているものとみられる。先端品向けのMLCCに注力する太陽誘電にメリットは少ない。

一方、同じくスマホ向けのMLCCに強みを持つ村田製作所は、今2025年3月期の営業利益3000億円(前期比39.2%)の予想を据え置いている。同社はハイエンド向けをもっとも得意とするものの、ローエンドからミドルエンドまでのボリュームゾーンでも、コスト競争力を武器に高シェアを誇る。高級機種ほどの収益性は望めないが、スマホ向けの出荷増がポジティブに作用するのは間違いない。

村田製作所はMLCCを全方位で展開。そのほか多数の電子部品を取り扱う(撮影:ヒラオカスタジオ)

上方修正した要因は

TDKは11月1日の決算説明会で、今2025年3月期のスマホ世界生産台数を11億4400万台から11億7500万台へ引き上げた。これを受けて今期営業利益についても、期初予想1800億円(前期比4.1%増)から2200億円(同27.2%増)へ上方修正した。

TDKはスマホ用MLCCを苦手としているものの、主力の2次電池事業で台数増加の恩恵を受ける。これはバッテリーとして使用されるため、機種のグレードにかかわらず、必ず搭載される部品だ。

一方で3社には、電気自動車(EV)の失速という誤算も生じた。TDKは今期のバッテリーEVの世界生産台数見込みを、1300万台から1100万台に引き下げた。車載向けのMLCCはスマホ用などと比べてややサイズが大きい反面、大容量と高信頼性を要求される。TDKはこの分野を得意としており、EVの成長が鈍化した影響を受けた。

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