コロナで大赤字「H.I.S.」牽引する成長事業の正体 あの「変なホテル」が利益を生む事業に成長
「ロボットによる省人化」と「必要な時の手厚い人的サービス」のバランスが、顧客と従業員両方の満足度につながっているビジネスモデル。「変なホテル」は、人件費が削減でき、比較的安価な投資で利益率を上げていけるポテンシャルがあるブランドといえるだろう。
ホテルの土地建物は自社物件と賃貸があるそうだが、自社のオーナー物件である場合、利益率はかなり高いという。グループの本業である旅行業と比べても、利益率は突出した水準となっている。
上質路線とエンタメで描く、収益力強化への道
「変わり続けることを約束する」変なホテル。作れば作るほど新しくなってきたが、ゲストの快適性やニーズが多様化するなかで、さらなる発展を遂げている。
「21ホテル目を迎え、新たなフェーズに入った」と遠藤さん。「1ブランドだけではゲストが求めるサービスやクオリティに対応できない」と判断し、これまでの価格競争力重視から、プレミアム路線への展開を開始したのだ。
すでに東京の浅草田原町や名古屋、京都の「変なホテル」では、これまでより広い客室や高級家具の導入、スイートルームの設置など、上質なサービスを提供している。また浅草田原町や京都のフロントは、ロボットからホログラムに進化。今後、プラスアルファのプレミアムサービスも付加していく予定だ。平均客室単価についても、現在の1万5000円から、2~3割の上昇を目指す。
一方で、山手線や乙女ゲーム、ゆるキャラなど、さまざまなコラボルームやコンセプトルームも作りはじめている。その理由は「もっと変な」体験価値を創造するためだ。
「これまで『変なホテル』とうたっていながら、『フロントは変でした。でも客室は普通ですね』というお声をいただくことが多かったんです。もっと、H.I.S.グループの企業理念である『「心躍る」を解き放つ』に通じる、ワクワクを提供したいと考えています」(遠藤さん)
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