コロナで大赤字「H.I.S.」牽引する成長事業の正体 あの「変なホテル」が利益を生む事業に成長
たとえば清掃は、外部業者に委託していたところを、社内管理に切り替え、専属のアルバイトと、一部にロボット掃除機を活用する形に。また、客室に設置していたアメニティを、ゲストが必要な分だけロビーで選ぶ「アメニティバー」方式に変更した。
これにより、設置する手間が減っただけでなく、廃棄が少なくなったことによる経費削減、環境省が推進するマイクロプラスチック削減への貢献にもつながったという。
基本業務は4つに集約されている
マルチタスク化した現在の基本業務は、
2.ゲスト、客室へのイレギュラー対応
3.ゲストの宿泊記録の管理・システム運用
4.定期時間にラウンジのドリンクやフードの準備・片付け
の4つのみだ。イレギュラー対応以外は、各業務をこなす時間帯が決まっている。
従業員の人数も最小限だ。通常のホテルでは、1ホテルに15~20名必要な従業員を、開業当初から7~8名でローテーションして運営している。常駐するのはわずか2名だ。このため、コロナ禍で顧客の人数が大幅に減った際も、人員削減や配置転換を行う必要がなく、事業継続の一因になったという。
加えて、これら従業員は9割を社員が占める。その理由を遠藤さんは、「少人数で回しているからこそ、能力的にも、業務的にも1人で多種多様な仕事ができる人間じゃないと難しい。頭脳派集団である必要があります」と説明する。
「立ちっぱなしで1日100人を対応する」こともザラな受付業務がなく、決まった時間に決まった業務をこなすことが主となるため、他ホテルからの転職者からは「働きやすい」という声が上がる。離職率は低水準で推移している。
こうした改革が実を結び、2023年には売り上げ・利益を確保できるまでに回復。そこから業績が急上昇し、今、グループ全体を支え始めているのだ。
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