覇権奪取を目指すFacebook動画の新事実

王者YouTubeを撃墜できるか

YouTubeにおける動画共有のエコシステム構築が始まったのは、2011年。投資された予算は、米DIGIDAYの記事によると、累計1億ドルという。まず、世界中で現れた「YouTuber(ユーチューバー)」という新しいスターに着目した。日本では「はじめしゃちょー」「HIKAKIN」による、大型キャンペーン「好きなことで、生きていく」は記憶に新しい。

さらにYouTubeは、コンテンツ制作者を支援し、人気「YouTubeチャンネル」の確立を進めた。2014年11月には、ニューヨーク・マンハッタンに、チャンネル登録者数5000人超のクリエイター専用のスタジオを設立。最高の機材とスタジオが利用できる一方、ビデオによる広告収入の45%はYouTubeに収めるルールで開放している。

加えて、YouTubeなどをテレビで楽しめるデバイス「Chromecast(クロームキャスト)」をリリース。配信インフラを独自の手法で拡大した。タレントに脚光を当て、製作者を支援し、独自の放送インフラを提供する。これは新しい「テレビ」システムの創造と言えるだろう。

意外な伏兵、挑戦者Facebook

しかし、独占はかなわない。強力な対抗馬が現れた。Facebookの動画が、潜在的な可能性を示したのは、2014年夏に世界中で流行した、氷水をかぶるゲーム「アイス・バケツ・チャレンジ」である。このゲームの動画は、YouTubeではなく、Facebook上で、1700万回シェアされた。

Facebookユーザーの視点では、FacebookビデオはYouTubeより使いやすい。YouTubeを経由しなければ、シェアは格段に簡単になる。また、このムーブメントには、次にチャレンジする相手を指名するというルールがあった。それがソーシャル・ネットワークという、人をつなげるプラットフォームにハマったのだろう。

Facebookの月間アクティブユーザー数(MAU)は、2015年6月30日時点で14億9000万人。これを同社の動画プラットフォームに誘導している。実際、Facebookの動画がYouTubeユーザーを飲み込んでいるという統計も存在する。

2015年のcomScore調査によると、同年7月時点でYouTubeのユニークビューワー数(デスクトップ視聴のみ)は16億9219万、Facebookのユニークビューワー数(同)は8億9357万と追い上げている。また、socialbaker調査によれば、2014年11月にウェブ上に投稿された動画の内訳で、Facebook動画がYouTubeを追い抜いたという。

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各サービスに投稿された動画数の推移を示すsocialbakersの調査

米国のブランド企業はFacebook動画を「発見」した。2014年3月から導入されていたニュースフィード内の動画広告に、2015年初頭から広告主が殺到。良質なユーザーデータを保有するFacebookは、ターゲティングをさらに洗練できると主張している。

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