ホテル事業で260億稼ぐ「あの通販会社」の勝因 ベルーナ流「浪漫を感じるか」M&Aの舞台裏
「たとえば、沖縄の『ホテル浜比嘉島リゾート』は取得したものの、業績がはかばかしくありません。海が目の前で眺望は素晴らしいのですが、東シナ海に面していて、太平洋側に比べると集客力がいま一つなことが購入後に分かったのです」
そうなったときに、資金をかけてリノベーションをして集客力を高めるのか、その分を別のホテルに投資するのか?
「『良いものを良くする』のはいいのですが、『良くないものを良くする』のは非常にエネルギーが必要です。全て闇雲に投資するのではなく、ポテンシャルの高いホテルに投資して、低いホテルは客室単価を下げるなどの対応をしています。同じお金を使うなら、効率が良いところに使いたいですから」と安野社長。
投資効率の優先順位を精密に数値化して判断しているそうだ。そしてこの判断には、「浪漫を感じるか」も重要な基準だという。
「この地域で、うちだけは稼ぐ」意識で
「浪漫を感じる」とはどういうことか。ベルーナでは投資物件の選定において、外部から来た情報を基に、まずは幹部が現地に行って調査する。そこで期待が持てそうであれば、安野社長も必ず足を運ぶそうだ。
そして、五感を働かせながら物件を回り、「浪漫を感じるか」「気持ちよく仕事ができると感じるか」に耳を澄ませる。この2つがあれば、「損をしてでも、とにかくこのホテルをなんとかしてやろう」という気持ちが沸き起こるのだとか。実際、そう感じた物件は業績を伸ばしているという。
もちろん、M&Aの判断材料にはマーケット状況や費用対効果、収益性なども含まれるそうだが、それをクリアすると最後は、自分自身の「浪漫」の感覚が決め手となるのだ。
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