ホテル事業で260億稼ぐ「あの通販会社」の勝因 ベルーナ流「浪漫を感じるか」M&Aの舞台裏

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また、前述した通り人材を集めるのが非常に難しくなっているため、自社がホテルを展開するスリランカ等東南アジアのネットワークを使って海外からも人を集めている。雇用している外国人は200人を数え、全体の2~3割に及ぶ。

定山渓ビューホテル
定山渓ビューホテルで働く、台湾人のスタッフ(写真:グランベルホテルグループ提供)

いまでは、ホテル事業に従事するは、全社員約4000人中1100人(2024年3月期時点)に。しかし、まだ社内的には通販事業がメインで、ホテル事業はサブ的な位置づけ。社内でのステータスは、あまり高くないそうだ。

だが、安野社長は、「売り上げが伸びて認知度は上がっています。今後の成長に伴い、ホテル事業に従事する社員への注目度が上がってくるのでは」と予測する。

500億円売上高への成長シナリオ

これから、ベルーナのホテル事業はどうなっていくのか。通販カタログ業界は、紙も印刷代も物流も値上がりが続き、逆風が吹き荒れている。右肩下がりの売り上げを上げていくのは相当難しい状況だ。だから、無理はしない。

「カタログ事業については、『徐行運転、低速走行、法定速度、スピード違反防止』と言っています。ゆっくり手堅くやっていくつもりです。でも、ホテル事業は思い切ってアクセルを踏みます」と言うと、安野社長の眼光が鋭くなり、「目標は、3、4年後に売り上げ500億円です」と言い放った。

京都グランベルホテル
モダンな和の設えにデザインされた、京都グランベルホテルのツインルーム(写真:グランベルホテルグループ提供)

決して夢の数値ではない。2025年に創業予定の札幌駅北口、小樽を含めて建築中、そしてこれから建設予定のホテルが3、4軒あるそうだ。それが完成すれば500億円の達成が視野に入る。その先には、さらなる成長ステージが待っていると安野社長は見据える。

しかも、成長が見込まれる事業はホテルだけに限らない。同社では、呉服関連事業をはじめ、ワイン、日本酒、そしてナースのための通信販売事業も行っており、「それぞれの分野で日本一の売り上げを誇っている」と安野社長。そういった専門性の高い分野では、今後もグンとアクセルを踏み込むそうだ。

銀座ホテルbyグランベル
グランベルホテルの最高位ブランドとして2023年に銀座にオープンした、銀座ホテル by グランベル(写真:グランベルホテルグループ提供)
笹間 聖子 フリーライター・編集者

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ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルはホテルビジネス、幼児教育、企業ストーリー。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界専門誌で16年間執筆を続けており、ホテルと経営者の取材経験多数。「週刊ホテルレストラン」「ダイヤモンド・チェーンストアオンライン」「FQ Kids」などで執筆。企業のnote発信サポーター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

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