逆にいえば、パワー特性的には、FCEV特有の個性は感じない。そういった点では、ちょっと物足りなさを感じるユーザーもいるかもしれない。ただし、コーナリング時の高い安定性という面は、このモデルならではだといえるだろう。それは2トンを超える車両重量のほか、FCスタックの搭載位置を低くしたり、バッテリーをフロアに搭載したりするなどで低重心化を実施していることが要因だ。
ホンダの開発者によれば、このモデルでは、ほかにも重量増などに対応するため、「ベースとなったCR-Vハイブリッド車と比べ、サスペンションのセッティング変更やタイヤの空気圧アップ」なども実施。これらにより、路面の凹凸などでもあまり衝撃が車内に伝わらず、高い快適性を実現することに成功しているという。
先進安全装備について
先進安全装備では、最新の「ホンダ センシング」を搭載し、「衝突軽減ブレーキ」「路外逸脱抑制機能」「踏み間違い衝突軽減システム」など、さまざまな運転支援システムを搭載する。
なかでも、今回の試乗でとくに役立った機能は、「渋滞追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)」だ。ACCは、設定した速度や車間距離を自動で保持し、前車を追従する機能。当モデルには、それに加え、渋滞などで前車が停止すると自車も停止し、前車が再発進すると一定の操作で追従を再開する渋滞追従機能も装備する。
とくにCR-V e:FCEVのACCで感じたのは、前車の速度が落ちた場合、設定車間を保持するための減速がゆるやかで、とても自然な感じの追従だったことだ。また、前車が停車後に再発進し、自車が再び追従を開始する際も、急激な加速などもほぼない。ACC作動時に、より多くのシーンで、アクセルやブレーキの操作を安心してシステムに任せておける感じだった。こうした機能は、高速道路だけでなく、一般道でも渋滞時に効果を発揮するだけに、日常の走行から休日のレジャーまで、幅広い状況下で、ドライバーの疲労軽減につながることが予想できる。
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