「骨を強めるにはカルシウム」の常識が変わった訳 メカニズムの解明で医学のガイドラインも改訂された
骨、と聞くと真っ先に「カルシウム」「骨密度」という言葉が思い浮かぶ方も多いでしょう。実際、骨の体積の約半分はカルシウムやリンを主体とするミネラル成分でできています。でも、骨の成分はカルシウムだけではありません。残りの半分は、タンパク質の一種であるコラーゲンです。
「硬い骨の半分がコラーゲンでできている?」と多くの方は驚かれますが、骨の中でコラーゲンはとても大切な役目を担っています。
2010年「骨質」が骨の強さにかかわると解明
骨の構造を理解してもらうために、私はよく、鉄筋コンクリートの建物にたとえてお話しします。
コンクリートに相当するのがカルシウムで、鉄筋はコラーゲンにあたります。通常、鉄筋コンクリート製の建物は大きな地震が来ても簡単には崩れ落ちませんが、これは鉄筋がしなって、地震の衝撃を吸収してくれるおかげです。
骨も同様で、カルシウムなどのミネラル成分とコラーゲンの分子が粘り強くつながり合うことで、骨の強度を保っています。
骨に存在する無数のコラーゲン分子は、棒状のタンパク質です。建物でいうところの鉄筋1本がコラーゲン分子1本で、「架橋」(かきょう)と呼ばれるものが「梁」(はり)の役割を果たして、隣り合う鉄筋同士(コラーゲン同士)をつなぎとめています。
この無数のコラーゲンが骨に粘り強さ、「しなり」を与えます。コンクリート(=カルシウム)だけの建物は瀬戸物のように粘り強さがなくパリンと割れてしまいますが、鉄筋(=コラーゲン)が足りない骨も、まさにこれと同じです。強度が足りず、弱く劣化しやすいというわけです。
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