1月11日、オックスフォード大学が『ランセット呼吸器内科版』に発表した研究でも、イギリス、スペイン、エストニアの約2000万人のデータを解析したところ、ワクチン接種により後遺症の発症頻度が30~50%程度減少していたことがわかった。
ワクチンの追加接種は必要か?
では、何回、ワクチンを打てばいいのか。
11月24日、中国人民解放軍空軍医療センターの研究チームが、コロナに罹患した透析患者115人を対象とした研究を『国際泌尿器腎臓病学雑誌』に発表。それによれば、60人(52.2%)が後遺症を発症していたが、そのリスクは3回以上のワクチン接種で90%低減していた。
多くの日本人は3回以上、コロナワクチンを接種しているが、今冬、追加接種を受けるべきか。この問題について、今はまだ明確なエビデンスを提供できない。参考になるのは2月10日、イギリスのエジンバラ大学を中心とした研究チームが『ランセット』誌に報告したものだ。
彼らはイギリスのワクチン接種データベースに登録された約6820万人のデータを用いて、ワクチン接種回数と重症化の関係を調べた。
その結果、4回以上は約3880万人(57%)、3回以下は約2940万人(43%)だったが、4回以上と比べて、3回以下は重症化するリスクが高かった。特に75歳以上の高齢者でその傾向が強く、4回以上と比べて未接種で3.1倍、3回接種で2.7倍高かった。
この研究結果を解釈すると、2つの可能性が考えられる。1つめは「高齢者は4回以上の接種が必要である」という可能性、2つめは「最終接種から間隔があくと、感染予防だけでなく、重症化の予防効果も低減する」という可能性だ。
アメリカ疾病対策センター(CDC)は、6月27日、今冬の流行に備えて、「生後半年以上に対し、コロナワクチンの追加接種」を推奨した。これが世界の医学界の、現時点でのコンセンサスと考えていいだろう。
日本は公費接種の対象は65歳以上か、60~64歳で基礎疾患を有する人に限定される。これでは不十分だ。高齢者はもちろんだが、少なくとも、乳幼児や60歳未満でも病を抱えている人、そしてその家族は、今冬の流行に備えてワクチンを接種することを勧めたい。
コロナは未解明な点が多い感染症で、死亡、後遺症のいずれも看過できるものではないからだ。
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